今、団地に注目が集まっています。「リノベーションすることで割安感のある好みの住まいになる」「建物がある敷地が広くて緑が豊か」といったことがおもな理由。
家族と一緒だったり、ひとり暮らしだったり、さまざまな年代、ライフスタイルの方の団地住まいの実例を紹介している『団地で見つけた身軽で豊かな暮らし方』より、77歳で団地暮らしをしている漫画家・齋藤なずなさんの住まいをご紹介します。
暮らし・仕事・介護…格闘しながら過ごした団地
すべての画像を見る(全7枚)団地を舞台にひとり身の高齢者たちの老いと死を描いた漫画『ぼっち死の館』が話題です。著者である齋藤なずなさんもまた団地住まい。日当たりのよい角部屋に暮らしています。
「夫の兄が団地住まいで、長期出張の間、代わりに住んでくれって言われたのが最初でした」
実際に暮らしてみて手頃な広さ、機能的な間取りが気に入ったそう。その後も45年間、土地や部屋を替えながら団地住まいを続けました。
「現在の住まいに引っ越してからは21年目。その間、漫画の執筆はもちろん、10歳年上だった夫の介護もここで」
京都の大学に毎週教えに通った日々もありました。今は漫画を描きたい人に描き方の指南もしています。
「われながらよくやってきた(笑)。ここでは必要なものはなんでもそろうし、漫画のネタ=普通の人々のごく普通の日常がある。これからもここで人生との格闘は続いていくんでしょうね」
アナログで原稿を描く齋藤さん愛用の画材の数々。
壁面、引っかけ収納、机の下…空間を無駄なく生かした創作活動の秘密基地
齋藤さんの仕事スペースは、ロフトベッド下の空間。手を伸ばせば届くところにすべてが用意されています。
スチール製のロフトベッドの下が「執筆用ブース」です。「私はいまだに(パソコンではなく)手描きなので、道具が多くて」。
画材も資料も、すべてが手の届くところに収まっています。「疲れたらすぐ横になれるしね(笑)」