●仕事はやりつづけることに意味や楽しさがある

――本作は、崖っぷちの蒸留所の行方や家族の絆、働く人の想いなど、さまざまな物語が描かれていますが、小野さんはどんな方にこの作品をみてほしいですか?

映画のワンシーン
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小野:もちろん多くの方に見ていただきたいですが、若い人にもぜひ見てほしいですね。光太郎って、調べ物も全部スマホだし、考え方も現代っ子なんですよ(笑)。あとは、「仕事が合わないからすぐやめちゃう」、「やりたいことが見つからずに転職を繰り返す」とか、若い人の感覚に少し近い部分もあるんじゃないかな、なんて思います。

――1つの会社でずっと働き続けるというのが当たり前ではなくなってますもんね…。

小野:昔と今では働き方も違うので、すぐにやめることが絶対悪いとは思いませんが、「もうちょっとがんばってみてもいいのでは…?」なんて思う部分もあって…。

僕は小さい頃からこの仕事をずっとやっている身なので、やりつづけることに意味があるというか、やり続けないと楽しくなってこないんじゃないのか? なんて思う。だから仕事で、そういう「やりがい」を見つけられるかって重要ですよね。

――演じているうちに光太郎の印象で変わった部分はありますか? また、ご自身と光太郎が似ていると感じたところがあれば教えてください。

小野賢章さん

小野:光太郎の印象は割と最初に読んだときのままだった気がします。というのも、ウイスキーに対して、彼と同じ感覚を持っていたし、考え方など共感できる部分も多かったので、自然のままで演じられたら、それがいちばんいいのかな…と思っていました。

映画のなかで、光太郎がリサーチ不足で、取引先の酒造を名前が似ている競合酒造と間違えてしまう…というミスをするんですけど、それに対して光太郎が「そんなの知らないよ!」みたいな態度を取ってしまうところとか、「それわかるな!」って思っちゃいましたね(笑)。そこまで調べなかった自分が悪かったっていうよりは、そんなのわかりづらいよ…って思っちゃうところは少し共感できますね。

●役者以外の仕事は想像がつかない

――光太郎はニュースサイト「ニュースバリュージャパン」の記者ですが、もし小野さんが記者だったら密着したいものや取材したいものはありますか?

小野賢章さん

小野:やっぱり興味あるものがいいですね。やる気につながりますし、自分のモチベーションにもつながる。興味がないことに対して、嫌々やっているものってわかるじゃないですか。「この人全然興味ないんだろうな…」みたいなものって伝わっちゃう。

それを無理にでもやるのが仕事かもしれないけれど、僕は割とわかりやすく態度に出てしまうタイプなので、それだったら興味があって楽しくできるモノをやりたい! だから、ゲームとかそういう取材は最高ですね。

――度重なる転職の末に記者という職業を選択した光太郎ですが、もし小野さんが違う職業に就いていたとすると、その職業はなんだと思いますか?

小野賢章さん

小野:全然想像つかないですね…! 子役からやっていて、始まりこそヒーローになりたいみたいなものでしたけど、今僕からこれをとりあげたらなにも残らない。だからほかの職業を想像するのは難しい。でも、ファッションや写真、広告とか…そういう近しいところにはいそうな気もします。