●費用を抑えるため、できることは自分で
すべての画像を見る(全4枚)そうして、まずは間取りなどを自分が使いやすいように大きく変えたそう。
「3LDKの間取りはおひとりさまには必要ないと1LDKに大幅変更。寝室以外は不要な壁を取り払って、広々したリビングキッチンを実現しました。大きな荷物も受け取れるよう、狭い玄関を2倍に広げ、季節を楽しむためのギャラリースペースも設けました。トイレとお風呂をひと続きにすることで広くし、脱衣所も確保。そして、窓は全て二重サッシに。費用はかかりましたが、防音とカビ対策、電気代の節約効果もあるので、やっておいてよかったです」
かかったお金は通常のフルリノベーションの3分の2ぐらい。費用を抑えられたのには、理由がありました。
「費用を抑えられたのは、地元の業者さんと資材や設備を比較検討し、よく話し合うことができたから。口ぐせは『予算がないんです(笑)』『なくても困らないなら省きます』『これはDIYでもできますか』。業者さんが見かねて『オマケするからこれ使ってよ』と言ってくれる場面もありました」
●自分で選んだもので築き上げた私らしい家
「本当に予算がなかった」と言うきんのさん。自分で工夫をこらすことで、なんとか家をつくり上げていきました。
「寝室の床はネット通販で購入したシートを自分で貼りました。洗面台も木枠だけつくってもらい、あとは手づくり。100円ショップやホームセンターでタイルや資材を購入しました。照明やトイレットペーパーホルダーも、楽天市場やAmazonなどのネット通販で買ったものです」
そうして完成した現在の部屋。自分らしさがつまった空間に、満足しているそうです。
「お金のやりくりに頭を悩ませながら、ひとつひとつ自分で選んだもので築き上げた私らしい家。大変だけど達成感があります。購入した物件がボロボロで住めない状態だったからこそ、決断できたフルリノベーション。その後の団地生活が快適になったことはもちろん、完成までの過程も楽しくてよい思い出です。なにが幸いするかわかりませんね」
『54歳おひとりさま。古い団地で見つけた私らしい暮らし』(扶桑社)では、団地暮らしのメリット・デメリットや、年金生活の予習としての月12万円生活、お楽しみも大切にする食費節約のコツといったアイデアをたっぷり紹介しています。
さらには、老後の不安やおひとりさまの不安を解消するためのお金の備え方や、困りごとや気持ちを整理する「じぶん会議」のやり方、介護士だからこそ分かった高齢の親との付き合い方なども収録。これからの暮らしを豊かにするためのヒントが詰まった一冊です。