日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。「セックスがうまくいかないことが夫の中でプレッシャーだったのかも」と新婚当時を振り返るのは主婦の秀美さん(仮名・40代)です。仕事を抱えながら体外受精での妊活へと進むなかで感じた葛藤とは? 40代を迎えた今もレスが継続中。だれにも話せずにいる胸の内を語ってくださいました。
レスでも子どもが欲しい。でも年齢の壁が…
子どもが欲しくて結婚したにも関わらず、行為が苦手な夫は逃げてばかり…。話し合いの末、体外受精での妊活をすることになった秀美さん。当時の不妊治療は保険適用外だったので全額自費。金銭面や仕事のスケジュール調整、体力面や精神的な負担がとても重かったといいます。
●実年齢より卵巣年齢が高かった
すべての画像を見る(全4枚)体外受精の治療を始める前の基礎検査で、秀美さんはAMHというホルモン値の結果があまりよくないことを医師から伝えられました。
「医師から『卵巣の年齢が実年齢よりも上です』と言われてグラフを見せられたときはショックでした。こんなことなら、もっと早くから検査だけでも受けておけばよかったって」と秀美さん。
このとき、秀美さんは既に36歳。30代後半になると妊娠する力、出産する力、すべてが右肩下がりになっていくという説明を受けました。妊活をする上では避けて通れない年齢の壁。夫と2人でスタートするにはギリギリのタイミングだったことを自覚したそう。
●不妊治療をしながら働き続ける難しさ
夫も秀美さん自身も、フルタイムで働く会社員。平日の昼間に急に通院のスケジュールが入る不妊治療は、2人にとって、大きな負担にもなりました。
「あれほど、『子どもはいらない』と言っていたけれど、いざ妊活となってから、不妊治療に対して女性の負担が大きいことなどをしっかり調べてサポートしてくれました。家事もどんどんこなしてくれるので助かりましたが、それでも通院日程をやりくりだけで本当に大変。お金もバンバン出ていくので、仕事を辞めるという選択肢は取りにくいし。夫も精子を病院で取らないといけないので、屈辱的な気持ちになったかもしれません。けれど『2人でがんばろう』という姿勢を夫が貫いてくれたので、そこは助かりました」
とくに採卵周期はホルモン剤の影響で、家から電車で2駅先の病院へ通うだけでもしんどい日々だったと語ります。結局、2つ採卵することができたのですが、当時の秀美さんの年齢からすると、ご自身ではやはり少ないと感じたそう。
「幸いにも無事に受精して、培養も2つともうまくいきました。グレードがいいほうの卵を移植したのですが、着床せずに生理が来てしまったときは本当につらかったです。おなかにいてくれなかったんだなぁと悲しい気持ちになってしまって…」と目に涙を浮かべながら振り返る秀美さん。
辛い経験も乗り越え、2度目の移植では無事に陽性判定が出ました。不妊治療を卒業し、出産へこぎつけ、念願のママになることが叶ったのです。