日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。「私も独りよがりで、悲劇のヒロインみたいな気持ちで夫に接していたことを悪かったなと思っています」と語るのは、ピラティスインストラクターをしている京子さん(仮名・36歳)です。じつは子どもが誕生するまでに、セックスレスと不妊治療を経験。詳しくお話を伺いました。
あなたが「生殖のために」しかしてくれなくても
人気モデルも通う都内の某スタジオでピラティスのインストラクターを務める京子さん。夫と出会ったのは25歳の頃。チラシに載っていた京子さんの写真を見て一目惚れをし、レッスンを受けに来た7歳年上の男性が今の夫です。2年の交際期間を経て結婚しました。
「すごく誠実な性格なところが好きになりました。ぽんぽんと調子のいいことを言えるタイプではなく、よく考えてからしゃべる方なので、一緒にいて楽しいというよりも、安心感がある人だなと感じて。出会ったときからこの人と結婚するかもという予感がありました」と京子さん。
●夫が抱えていたコンプレックス
大手自動車メーカーで法務の仕事をしているという夫は、頭がよくてスポーツも万能。性格も温厚で、生活も安定。一見するとだれもがうらやむような不自由のない暮らしに見えますが、じつは11年の結婚生活はセックスのことでずっと悩みっぱなしだといいます。
すべての画像を見る(全4枚)「夫とは体の相性がよくありませんでした。夫は性に対してとても淡泊で頻度も少ないし、旅行へ行っても“ナシ”で帰ってくることもしばしば。それまでおつき合いした男性はみんな肉食系だったので、最初はかなり戸惑いました。もしかしたら、夫はすること自体が苦手なのかも。ただそういうのって、女性からなかなか指摘しにくいですよね。私は年下だから、夫はいつもひっぱっていく立場で、自分の弱みを私に見せることはありませんでした」
交際当初から行為の時間が短い、途中で終わる、まったくできない…、そんなことがたびたびあったそう。それが夫のコンプレックスだと気がついても触れないようにしながらやり過ごしていたといいます。ところが、この問題が妊活をはじめたことによって表面化。
●子どもってそんなに必要ですか?
夫が40歳の大台に乗った頃。もし子どもが欲しいなら、真剣に不妊治療に取り組まないとなりません。
「お互い、子どもは欲しいということで意見は一致していたのですが、そこには温度差がありました。夫は絶対に欲しい。だから不妊治療もしたい。私は自然にできればいいけれど、いなくても人生を楽しめるという考え。不妊治療については後ろ向きでした。『そこまでして子どもって必要ですか?』という価値観の相違が結婚8年目で明らかになり、真剣に話し合いをすることになったんです。そこで夫の本音を知りました」
京子さんの夫は、妹と2人きょうだいですごく幸せな家庭に育ったから、自分もいつか同じような家庭をもち、父親になることを強く望んでいたのだそう。話し合いの末、京子さん自身も夫がそこまでいうなら…と、考えを改めたといいます。このとき京子さんは33歳。高齢出産になる35歳のラインも気になる年頃。
「夫の気持ちだけでなく、私の親戚や先輩女性たちの話もすごく影響しました。みんな『あとからやっぱり欲しかったと思っても、女性の場合、もうこの機を逃したらチャンスはないんだよ』と。女性には産めるリミットがある、後悔しないでほしいというリアルな話を聞いて、私も年齢的に悠長なことを言っている暇はないんだなと実感しました」