●発売当時からほぼ変わらない味わい

現在販売されている「永谷園のお茶づけ」レギュラーシリーズは、お茶づけ海苔のほかに、さけ、梅干、たらこ、わさびの5種類。5つ目のわさびが誕生したのが1989年なので、すでに34年が経っています。

どんな食材ともマッチするお茶づけだからこそ、どんどん種類を増やせるのでは…? なんて率直すぎる疑問をぶつけてみました。

お茶づけの種類
現在は、冷たい水をかけて食べる期間限定の「冷やし塩すだち茶づけ」、いろいろな味が楽しめる「アソートシリーズ」、だしにこだわった「だしごこち」を販売
すべての画像を見る(全7枚)

「新味が増えるまでに年数があいているのは、瞬間的に話題になるものではなく、お客さまから好まれる味を追求してきた結果です。信頼と安心の味を大切にしているため、相当の確信がなければ追加はできません。ただ、永谷園ではこの『レギュラーシリーズ』のほかにもお茶づけがあるので、そちらで期間限定のものや、少し変わった味など販売しています」

そして、驚くことに「お茶づけ海苔」に関しては創業当時からほぼ味に変化がないそうです。

「永谷園のお茶づけはこだわりの黄金比でつくられています。長年変わっていないからこそ、ほんの少し配合を変えるだけで、変化に気づかれるお客さまもいらっしゃって、アンケートでも『変えないでほしい』というお声が圧倒的に多いんですよ。

インタビューに答える女性

ただ、新しいものを開発するときには、“何度も食べたくなる味 ”というのを大きな軸にしています。おいしすぎると、そのときの感動で終わってしまい、“何度も”ということがなくなってしまいますから。平安時代から親しまれてきたお茶づけは、いうなれば日本人にとっての“ファストフード”。毎日食べたい、また食べたいと思っていただけるちょうどいいラインを意識しています」

創業時の味を半世紀以上守っているとは驚きです。なにごとにも変化が求められる時代ですが、「変わらない」ことこそがブランド力の所以なのでしょう。