●いよいよ父と母が帰宅!
すべての画像を見る(全18枚)いよいよ3日目、夜になれば父と母が帰ってくる。私が仕事を終えて夕方ごろ帰宅すると、ちょうど兄と犬も散歩から帰ってきた。私は靴を脱ぎ、犬はそのままの足で揃って居間に上がる。
そしてボールと一緒に買っておいたおやつを犬に見せて「食べる?」と尋ねれば、漫画であれば“パァァッ”と効果音がつくほどに犬の瞳が輝いた。
お気づきかもしれないが母の不在に合わせてボールやおやつを準備しておいた。常日頃から犬限定で財布のひもが緩みがちだが、今回は寂しさを紛らわせればと少し意識した。
「もう少ししたらお母さん帰ってくるよ」と伝えると、玄関を見張るかのようにいそいそと長椅子の下に身体を潜めた。一体どこまで伝わってるんや。
1時間ほど経過し、すっかり日が暮れた庭先に賑やかな足音が近寄ってくる! 母の足音を聞き分けている犬は吠えず、静かに、ただ静かに帰りを待っている。
「ただいま~!」母が犬に手を伸ばしながら駆け寄る。犬はその手を受け入れる。こんなとき犬も「おかえり」って言うんかな。いや、もう言うてんのかな。
母が犬を撫でながら「この3日間…」と喋り始める。
「子どもの顔はよぎらんかったけど、犬には会いたくなった」なんてえらい真剣に言うてウケた。笑いながら「分かるよ」と相槌を打つ。出先で犬に会いたくなるのほんま分かるんよ。
犬を撫でながら、母は言葉を続けた。母の眼差しも声も手もぜんぶぜんぶ優しい。
「やっぱり旅先でも色んな所で犬を見かけるし、見たらどうしてるかなって逐一考えたよ。それに携帯ひらいたらおるし」
…なぁ? と犬に呼びかける。お母さんの携帯の待ち受けずっと犬の写真やもんな。犬は安心しきっているのか、穏やかな表情で瞳を閉じた。
あーー何事もなくてよかった! と気が抜けた翌日の夜ですよ。居眠りをする母にいつになくえらい身を寄せる姿を目撃。この日犬が母にめちゃ甘えとって3日間の反動を感じた。
平然として見えたが、その内はわからないな。犬の心は犬だけのものだなぁとあらためて。