南北に細長い敷地。おまけに南と西の二面をマンションに囲まれているのに、明るくて開放感を感じる仕掛けのある2階建ての注文住宅を紹介します。秘密は、高窓や天窓の使い方と、すばらしい借景を楽しめるインナーテラス&リビングの間取りにあります。自然素材と柔らかな光に包まれながら、心穏やかに暮らせる住まいです。

2階のリビング
2階のリビングとインナーバルコニーからは、すばらしい借景を楽しめます
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インナーバルコニーで桜の借景を切り取る

Kさんの家 東京都 家族構成/夫50代 妻40代 長男20代 叔母70代 設計/遊空間設計室

ダイニングでくつろぐ家族

内装会社を経営するKさんは、建築家の高野保光さんとは長いつき合い。古くなった家を建て替えることになり、迷わず高野さんに設計を依頼しました。

以前の家は、広さはあっても冬は寒くて暗く、4畳半たらずの茶の間に家族が集まって過ごしていたそう。外の景色はまったく楽しめませんでした。

今回、土地の半分を手放したため、敷地面積は34坪に縮小。間口が狭く、南北に細長い敷地形状に。そこにKさん一家3人と父、叔母の部屋、さらにオフィスを詰め込むという難しい設定条件。将来を考え3階建ては避けたいというKさんの要望に、高野さんは悩みつつも考え抜いたプランを提案。

設計の要は、北側にある病院敷地の緑を借景するアイデア。LDKを2階の北側に配置して大きな窓を設け、借景を取り込みました。撮影時は折しも桜が満開。屋根と壁に守られたインナーバルコニーに出てベンチに腰掛けるだけで、お花見気分に浸れます。

ゆっくりできる休日、Kさんはバルコニーのベンチに腰掛け、外を眺めながらコーヒーを飲むのが楽しみになったそう。「同じ場所で暮らしているとは思えないほど、喜びが増えました」。

【動画】借景を眺めながら、インナーバルコニーで飲むコーヒーは最高!