全国転勤がある公務員の職に就き、現在も単身赴任のフルタイムで働く杏さん(仮名・35歳)。子どもが欲しい夫と価値観の違いが浮き彫りになるなか、夫の体に異変が。「2年以上のセックスレスですが、妊活に向けて話し合いを進めたい」と、心境の変化が訪れるまでのお話を詳しく伺いました。

◆前回のお話はこちら!

セックスレスのまま36歳に。ヤングケアラーだった私と、宝物のように育った夫:杏さんの場合2

レス期間が2年超。冷えきった夫婦関係が雪解けに

幼少期の過酷な経験や実母との関係に悩み、妊活に前向きになれないというお話を前回しました。

単身赴任中の私。コロナも落ち着き、以前よりも夫と会える頻度は増えたのですが、いまだにレスのまま。夫婦関係にヒビが入るきっかけとなった夫の実家へも、「仕事を辞めろ」と言われた2年前のお盆以降、顔を出していません。

そんなある日、夫が腹痛で倒れてしまったのです。

●苦しみもだえる夫。腹痛の原因は…

夜中に苦しみ出す夫
夜中に苦しみ出す夫…※写真はイメージです(以下同様)
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たまたま週末で一緒に過ごしていた日の夜でした。寝ていたら夫に起こされたのですが、うめき声をあげていてただごとではない様子。顔色も真っ青です。すぐにタクシーを呼んで、救急外来に駆け込みました。

タクシーのなかでも、ちょっとの揺れで悲鳴を上げているような状態。道はすいていて、10分くらいで近くの病院へ到着しましたが、体感だともっと長く感じました。救急車を呼べばよかった、このまま死んじゃうんじゃないかと最悪の事態が頭をよぎったほど。

あんなに大好きで結婚したのに、この2年、私はなにをやっていたんだろう…。夫の検査中、後悔で押しつぶされそうでした。

医師

医師の説明によると、腹痛の原因は尿管結石。体の外から衝撃波を当てて粉砕する方法もあるそうなのですが、夫の場合、3mm程度なので自然排出を待ちましょうということになりました。

●離れて暮らしていたことで、血尿の話も知らず…

じつは、数日前から血尿も出ていたそう。このとき初めて知りました。私は妻なのに、全然夫の体調のことを気遣えていなかったなと反省。

以前なら、単身赴任生活といっても、平日に仕事が終わったら、どんな1日を過ごしたのかなど何気ないやり取りを電話やメールでちょいちょいしていました。レスになってからのこの2年は、いつ帰るとか事務的なスケジュールの連絡ばかりになっていたのです。

●失うかもしれないという恐怖。夫への愛を再確認できた

タクシー

病院へ向かうタクシーのなかで、本気で夫を失ってしまうかもしれないという怖さを感じました。命に別条がないことに心底安堵できた瞬間、夫への愛を再確認。この人は、私の大切な人。

帰宅後は、尿管結石を出すためにひたすら水をガブ飲みしていました。痛み止めの座薬を入れてあげたときに、「この猫のポーズしてると痛みが和らぐ」という夫の姿がかわいらしく、久しぶりに二人で大笑い。

肝心の尿管結石は幸いすぐに排出されたのですが、なんとラグビーボールのような形状をしていて、いちばん長い部分は7mmもあったのです。

「角度の問題かな? 3mmって言われてたのに、こんなに大きかったよ~」と誇らしげに報告してくる夫。夫婦でこんな風に和やかな雰囲気の時間を過ごすことが久しぶりで、夫の腹痛はかわいそうだったけれど、なんとなくうれしい気持ちになりました。