妻が感じた悪い予感。家に帰ると…

「早めに病院へ行きなさいよ」と私が言っても、夫は「すぐ治まるし、もう少し様子を見るよ」ばかり。なかなか言うことをきいてくれません。実際、ずっとおなかが痛いわけではなく、ときどき胃が痛む程度だったようです。

食欲が落ちてから10日くらいたったある日、夫がついに会社を早退することになりました。

●ふと見送った夫の後ろ姿が目に焼きついて

倒れる
すべての画像を見る(全5枚)

「周りの人から『顔色悪いから帰れ』って言われて、タクシーで帰宅します」というメッセージを受け取り、慌てて夫のいるフロアへ直行。ちょうど帰り支度をしているところでした。
「ちょっと、大丈夫なの?」と声をかけると「うん、近所のクリニック、13時には開くよね?」というので、「そうね」と返事をすると「それじゃ、午後になったらちゃんと行くから平気だよ」と言ってひとりで帰っていきました。

私は、そのあとすぐ商談があったのですが、ふと見送った夫の後ろ姿が目に焼きついてしまいました。なんとなく嫌な予感がしたのです。

上司に事情を話し、夫の後を追いかけてすぐに帰宅。すると玄関を入ったすぐのところで、夫がうずくまるように倒れているのを発見。靴を履いたまま、部屋にも入れず苦しそうにうめく夫。すぐに救急車を呼びました。

●救急隊「胃じゃなくて心臓だと思います」

緊急搬送

私は必死にこの10日間くらいの夫の様子を説明しました。食欲がなかったこと、時々胃の痛みを気にしていたこと、病院へ行けていなかったこと…。

救急隊員の一人が「痛みがあるとき普通脈は上がるのですが、ご主人の場合、脈が落ちてきています。これは胃じゃなくて心臓だと思います」と言いました。

私がショックを受けて言葉を失っている間も、救急隊の方々は迅速に病院へ連絡を取ってくださり、たまたまこの日、有名な心臓の専門医が来ているという近くの病院への搬送が決まりました。

●心筋梗塞だった夫。大切な人を亡くしていたかも

病院へ着くとすぐに手術が必要ということで、私は渡される書類に次々とサインをしました。すぐに心臓にカテーテルを入れる手術が行われ、夫は一命をとりとめたのです。

医師からは「このようなケースの場合、4割くらいは病院へ到着する前に亡くなってしまうのですよ。奥様がすぐ発見してくださってよかった」と言われて、あのとき、自分も早退するというとっさの判断ができなかったらと思うと、急に怖くなりました。大切な人を失ってしまったかもしれない。
次回は、心筋梗塞から夫が回復した前後で、良子さん自身の体にも異変が‥。完全にセックスレスになっていったお話をしたいと思います。

◆次回の記事はこちら!

50代の夫婦生活。「閉経した私はもう女じゃない?」:セックスレス・良子さんの場合2

みんなのセックスレスシリーズを一気読み!<無料会員限定記事あり>