ブロックを配置してさまざまなモノを生み出していくゲーム『マインクラフト』(以下、マイクラ)。世界でもっとも売れているゲームとして小学生を中心に絶大な人気を誇り、『マインクラフトでつくれるおバカトラップ&超便利装置』(扶桑社刊)をはじめとする攻略本は書店の攻略本コーナーでもひときわ賑わいをみせています。2016年よりいち早くマイクラを授業に取り入れている立命館小学校(京都府)の正頭英和先生に、実際の授業の様子や子どもたちに表れている効果について伺いました。

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子どもの“夢中”が止まらない!「マインクラフト」を取り入れた授業の驚くべき効果

「創造力を養える」「プログラミングに役立つ」などの理由で注目され、より教育効果を高めた『教育版マインクラフト』を授業に導入する小中学校が増えています。その背景とは?

●「マインクラフトで授業できるの!?」と子どもたちは大はしゃぎ

正頭英和先生
正頭英和先生

そもそも正頭先生がマイクラを導入したのは、立命館小学校がマイクラの販売元であるMicrosoft社のバックアップを受ける「Microsoft Showcase School」に認定されていたことがきっかけだったといいます。

「Microsoft社の担当者の方に勧められたときは、僕もまだマイクラのことをよく知らなかったので少し悩みました。でも、当時担任していた6年生の子たちに『マインクラフトって知ってる? 授業でできたらどう?』となにげなく持ちかけてみたら、『マインクラフトで授業できるの!?』『すげえ!!』とものすごく盛り上がってしまって。引くに引けなくなってしまったんです(笑)」

そこでひとまず、正頭先生の担当教科である英語の授業の中でマイクラを試してみることにしたところ、いきなり子どもたちに変化が。

「まず初めに、『先生はマイクラをよく知らないから、どうやったら授業になるか君たちで考えて先生に提案してほしい』とお願いしたんです。すると子どもたちは休み時間をつぶして話し合いを始めて。そんな真剣な姿勢は見たことがなかったので驚きましたね」

●英語力とともにコミュニケーション力が高まった

その結果、子どもたちが提案してきたのは、「同世代の海外の子たちにもっと京都のことを知ってもらうために、マイクラで京都の名所を再現して紹介したい」というもの。

「それは確かにおもしろいなと思い、さっそく紹介相手となる海外のスクールを探し、マイクラをプレイしてる間は英語しか話してはいけないというルールを設けてスタートしました。せっかく英語の授業に取り入れるわけだし、英語を学ぶうえでは失敗を恐れずに話すことが重要ですからね。すると、マイクラをしたい気持ちが英語を間違える恥ずかしさに勝ったようで、一気に英語でのコミュニケーションが活発になりました」

マインクラフトに夢中になる子ども
当時のクラスの様子

こうした英語でのコミュニケーションだけでなく、普段のコミュニケーションにも変化があったとか。

「マイクラの授業の班はマイクラができる子とできない子が半々になるように設定したので、教える立場と教えてもらう立場が普段の勉強とは逆転したりして、新たなコミュニケーションが生まれるようになったんです。それに、ゲームを進めるために普段はあまりしゃべらない子がしゃべるようになったり、授業の延長で休み時間の会話も増えたりと、コミュニケーション力が高まっている印象も受けました。あと単純に、みんなでひとつのものをつくるという特別な体験によって、より仲良くなりましたね」