昨今、SNSでの問題行動がとり沙汰されることが増えました。なぜそのような問題行動をしてしまうのか? と疑問に感じる人も多いのではないでしょうか? 公認心理師の川本義巳さんが、その心理について教えてくれました。

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承認欲求のためにSNSを利用するのは危険な理由

飲食店で度が過ぎたイタズラをして、動画をSNSにアップした結果、大変なことになったという事件が頻発しています。こういった問題は以前から起きていて、バカッターやバイトテロという名前を見かけたことがある方も多いと思います。

一連のこういった騒動に対して「厳罰に処するべきだ」「損害賠償請求は当たり前」という声も以前に比べて多く挙げられるようになりました。一方で、「子どものやったことだから」「彼の未来のためにも穏便に」といった声もありますね。また「こういうイタズラは昔からあった」「こういうことをするヤツもいた」という人もいます。
このようにたくさんの意見が短期間で集まるのも、情報がものすごいスピードで広がっていくのもネット社会ならではの現象だと思います。当事者本人も「こんなことになるとは思わなかった」と思っていることでしょう。

●なぜイタズラ動画を上げてしまうのか?

さて、こういう問題を目にするたびに、不思議に思ったことはありませんか? そうです「なんでこういう結果になると想像できなかったんだろう?」ということですね。

私たちは普通ものすごく欲しいものがあってもそれを盗もうとはしませんし、ものすごく怒りが湧くことがあっても、相手を傷つけてしまうということは基本ありません。なぜならそういうことをしてしまうと、自分が罰せられてしまうことが想像できるからです。にもかかわらず、SNSではそういうことをしてしまう人がいるのです。

このことを考えるときには、2つのことを意識する必要があります。ひとつは「承認欲求」でもうひとつが「心理的障壁の低さ」です。

SNSの問題では、承認欲求がその原因であるという指摘があります。では承認欲求とはなんでしょうか? これは簡単に言ってしまうと「他人や社会に自分の価値を認めてもらいたいという感情」になります。この承認欲求は、誰にでもあるといっても過言ではありません。たとえば「少しでも印象をよくするために身だしなみには気をつける」とか「できるヤツと思われたいから仕事をがんばる」なども同じようなものですね。