エコに暮らすためにこだわった9つのこと
民家に暮らすことは、自然とともに生きてきた日本古来の暮らし方に触れること。大森さんは機能的にリノベーションして当たり前にそんな暮らしを実践しています。
1.古民家を断熱改修して住み継ぐ
すべての画像を見る(全28枚)柱や梁の素朴な美しさは日本の伝統的な木造建築の手法であり、これらの材を今手に入れるのは非常に難しくなっています。断熱改修を施して古民家を住み継ぐことは、こうした価値を次世代に遺すことになります。
2.土に還るものは土に返す暮らし
「ゴミとして回収してもらうものと土に還せるものは別だと思います」と妻の綾子さん。卵の殻や野菜クズなどはゴミとして捨てずに、庭の片隅に埋めています。土の養分が上がれば腐葉土として活用できます。
3.全熱交換換気でムダなく換気
熱交換換気システムが広間の南側とキッチンに設置されています。壁や天井に断熱材が充填され、密閉度の高いサッシに交換されて高密度化が進んだ大森さんの住まい。熱ロスのない吸排気の換気システムは欠かせません。
4.とくに夏が涼しい茅葺き+断熱
多くの空気を含んで抜群の断熱性を発揮する茅葺き屋根。大森邸は茅葺き部分の下にさらに断熱材を充填することで断熱性を補強。
断熱が施されていなかった外壁部分にも厚さ10㎝の断熱材が充填されています。
5.熱を逃がさず結露のないペアガラスサッシ
家じゅうの窓はペアガラスのサッシに交換しました。気密性も担保され、隙間風が入りません。
「前に暮らしていた家では冬になるとサッシからつららが下がっていましたが、ここでは結露もなく快適です」(綾子さん)。
6.ガス温水式の床暖房でさっと快適温度に
換気が不要でホコリをまい上げることもないクリーンな床暖房。ガス温水式は必要なときだけ給湯器を燃焼させ、お湯を一定温度に保ちながら床下で循環活用。電気式に比べ、ランニングコストが安いのが魅力です。
7.家の中で焚き火ができる薪ストーブ
綾子さんたっての希望で実現した薪ストーブ。インターネットで予算に合う薪ストーブ工房を見つけ、交渉から注文まで綾子さんが担当しただけに愛着もひとしお。
健司さんや長男も、薪割りを手伝います。
8.サーキュレーターで空気を循環
薪ストーブは南側の縁側にあり、天井には垂れ壁が下がっています。そのため熱気は縁側部分にこもりがち。それをサーキュレーターの風で強制的に循環させています。「風を当てる角度にコツがいるんです」と健司さん。
9.取りはずしができるポリカの間仕切り
広間と土間の境にあるクロゼットの上には、取りはずしができるポリカーボネートの板がはめられています。夏は取り外して土間と広間の空気を循環させ、冬は閉じて広間に熱を閉じ込める仕組みになっています。
間取り図と外観、周囲の環境について
●間取り図
陶芸作品のギャラリー兼商談スペースが必要なこと、家族がのびのびと過ごせる家にしたいこと、来客が多いので大空間が欲しいことなどを竹田さんに伝えた結果、西側の3分の2をLDKにあたる広間、東側をギャラリーなどの土間に分けた間取りができ上がりました。
●外観
日本の原風景のような大森さんの家の外観。金属板で覆われてはいますが、茅葺き屋根を頂いた風格ある民家です。
庭先にテーブルを出して、買ってきたパンを頬ばれば、簡単にピクニック気分が味わえます。西側に里山が迫った緑豊かな環境に民家の屋根の形が溶け込みます。