根強い人気の平屋。すべての部屋をワンフロアに配置すると、工事費は2階建てや3階建てよりも割高になることが一般的です。それだけでなく、敷地もそれなりの広さが必要に。しかし、一級建築士の石川淳さんは、「間取りを工夫して、平屋感覚で暮らせる2階建ての家にすれば、比較的小さな敷地で、割安に建てられる」と言います。平屋感覚の家とは? 自身が設計した家の竣工写真を交えながら、詳しく解説してくれました。
すべての画像を見る(全12枚)外観は平屋っぽい2階建てにすれば工事費は抑えられる
【この家のプロフィール】
・所在地:静岡県
・家族構成:夫婦+子ども2人
・間取り:1階にLDKと小和室と主寝室、サニタリー 2階に子ども部屋と書斎
・延床面積:33.8坪
こちらの家は、外観のデザインは三角屋根の平屋。L字型の建物の中央部分に塀で囲まれた中庭を設けました。
こちらがそのプラン。「平屋なのに2階があるの?」と思われたと思います。
じつは、子ども部屋と書斎を2階に小屋裏部屋風にプランしました。法令的には2階建てにしつつ、外観は平屋っぽいデザインにすることで、工事費を圧縮しているのです。また、2階部分は屋根に囲まれたことで外壁がなく、これも予算圧縮に役立っています。
2階の子ども部屋は、将来お子さんが巣立ったあとは、その役目は終えることに。夫婦ふたり暮らしになったら平屋として使うことも可能です。
平屋感覚の家=平屋の間取り+屋根裏風の個室
間取りを見ていきましょう。ここは中庭に開いた1階のリビングです。左に小和室があり、階段を上がると子ども部屋へ。
玄関土間には、ウオークインシューズクロークを設置。写真奥右手に玄関があります。たとえ子どもたちの靴が脱ぎ散らかっていたとしても、手前にあるリビングとの間の戸をサッと閉めればすっきり。
また、玄関土間はドアをあけたときに室内が丸見えにならないように、L字型の平面にしてあります。
小和室には玄関土間から直接入れる開口もあり、ちょっとした来客を直接この部屋に導くこともできます。
この家のキッチンはクローズタイプです。大きな引き戸でリビングから見えなくすることも可能。勝手口からは外の物干しへ直行できます。これも平屋感覚の家の魅力です。
主寝室は1階の中庭に面しています。朝、サッシをあければ、すぐに庭へ出ることもできます。1階なのに屋根の勾配を表しにして、天井高を高く取れているのも平屋感覚!
こちらが2階の子ども部屋です。屋根裏部屋のような雰囲気になり、子どもたちに大人気です。ちなみに、写真右手の斜めの窓は、屋根用の製品を使用し開閉が可能です。
子ども部屋には1階のリビングとつながる内窓を設けました。
こちらは2階の書斎です。窓を設けてあるので、屋根裏部屋とは思えない明るさ。勾配天井は適度な「おこもり感」があり、とても落ち着く空間です。
当初の設計では1階に設ける予定でしたが、収納量を増やしたいとの希望があったことから、2階に。その分1階のウオークインクローゼットを拡大しました。