自宅に採用したII型キッチンについて、ハウスメーカーで家を建てた日刊住まいライターがレポート。II型キッチンという間取りの家に住むのは初めてという夫婦が、9か月間使ってみて感じたメリット&デメリットを語ります。当初は、前後に並ぶカウンターを使い分ける際に、振り向いて作業することに違和感が。しかし、慣れると動線の短いキッチンを、とても快適に思えるようになりました。
すべての画像を見る(全6枚)新居には広くて使いやすいキッチンを
夫婦と1歳の子ども、そして2匹のネコと暮らす筆者。1年ほど前に、子どもの誕生をきっかけに大手ハウスメーカーで注文住宅を建てました。
以前に夫婦で暮らしていた賃貸アパートのキッチンは、まな板の置き場もないほど作業スペースが狭いのが不満でした。そのため家づくりでは、できるだけ広くて快適に料理ができるキッチンを目指すことに。
採用したキッチンのレイアウトは、シンクとコンロが別々の作業台に分かれるII型タイプ。妻も私もこれまで使ったことはありませんでしたが、ショールームで体感したことをきっかけに、採用を決めました。横幅を抑えつつ、広い作業スペースが確保できる。加えて、動線のよさに魅力を感じたのです。
以下に、わが家のII型キッチンを、実際に9か月間ほど使用してみた様子をレポートしていきます。
わが家のII型キッチンの基本構成
わが家のLDKは1階にあります。LDKの床面積は36㎡(約22畳)で、うち、キッチンは8㎡(約5畳)。ダイニングに面して作業台兼シンクがあり、シンク横にはビルドインの食洗機があります。
この作業台の手前(ダイニング側)は収納スペースに。書類や文房具、薬などの日用品を保管します。
奥の作業台(壁側)はIHコンロと収納です。ダイニングとキッチンを結ぶ通路の延長線上に冷蔵庫を、通路の右側面にはカップボードを配置しました。
作業台は使い勝手を考えて大きなサイズに
ダイニング側の作業台の全幅は2m、作業スペース部分だけで1mあります。壁側の作業台を合わせると計4mのキッチンスペースに。メインの作業スペースとなるシンク側は、奥行きも90cmと広めです。
II型キッチンでは、2つの作業台の間を行き来するので、通路幅も重要なポイントです。わが家では、通路幅を90cmに。1人で作業するには広すぎず、大人2人が作業するなら、すれ違う際に少し身をかわす必要があるくらいの幅です。
もし間取りに余裕があるなら、あと20cm広いと、スムーズにすれ違いができてよかったかなと思いました。
効率よい台所仕事を可能にした、冷蔵庫周りの動線計画
キッチン入口周辺は、冷蔵庫を中心に、右手にカップボード、左手前方に電子レンジ、左手後方にメイン作業台という配置です。作業台と冷蔵庫が近いため、食材などの出し入れが、その場から動かずに行えます。冷蔵庫と作業台の往復がないのは地味にうれしい!
またカップボードと電子レンジが隣接しているため、火も水も使わない調理だったら、この1m四方のスペースの移動だけで完結します。わが家では冷蔵庫の隣に電子レンジを設置していますが、ホットクッカーやブレンダーなど、使用頻度が高い調理家電を置いておくのも、使い勝手がよさそう。
このように、自身の生活スタイルに合わせて、家電調理器のレイアウトのカスタマイズがしやすいのも、II型キッチンの利点だと思います。
シンク&コンロ回りのキッチン動線
わが家のキッチンは、シンクとコンロが離れた配置です。これに慣れないうちは、結構気をつかいました。というのも、シンクで洗って切った材料を、まな板ごと壁側の作業台に移動させる際、床に材料や水滴を落とさないように注意が必要だから。
今では、ボウルなどに材料を入れて運ぶ習慣がついてきたおかげで、問題はほぼ解決。
床にものを落としやすいという点を除けば、使い勝手に不満はなし。シンク、コンロ、作業スペースが、振り返れば手が届く範囲にあるので、調理中もほとんど動く必要がありません。
実際は調理中に冷蔵庫やカップボードとの行き来もありますが、キッチンの端から端まで移動しても、3、4歩程度のことです。
キッチン動線が短いと、ストレスが減る
動線が短いと移動時間が短縮になります。とはいえ、このキッチンに関しては1回の移動で変わるのはせいぜい1秒程度。1度の調理で1〜2分の短縮になるかどうかというレベルだと思います。
「ちりも積もれば…」という話ですが、「行ったり来たり」が減るのはストレス軽減になります。時短より、この恩恵のほうが大きいと実感。イライラがなくなれば、料理を楽しむ余裕も出ますし、そのあとの食事もおいしくいただける気がします。