年齢を重ねるにつれ、変わってくる自分の親との関係。将来的な介護など、なんとなく考えているものの、いざ向き合うとなると覚悟が必要になってきますよね。そこで今回は、320万部のベストセラー『女性の品格』(PHP研究所刊)の著者である、坂東眞理子さんの新刊『女性の覚悟』(主婦の友社刊)から一部抜粋してご紹介します。

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50代で訪れる「親」との関係変化

親と子
年齢を重ねるにつれ変化する「親子関係」(※画像はイメージです。以下同)
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50代になると自分の親との関係が変化してきます。赤ちゃんのころから親は子供に対して優越的な立場から元気に育ってほしい、幸せな人生を送ってほしいと願って、物心両面で子供に与え続けてきました。日々おいしいものを食べさせよう、好きなことをさせて喜ばせよう、などと愛情をいっぱい注いで育てます。
成長してからもちゃんと健康に暮らしているか、仕事はうまくいっているか、配偶者とうまくいっているかと気にかけますが。しかし子供たちは与えられるのが当たり前だと感謝もせず、ときにはうるさがることさえあります。

●本当の意味での「独立」

うるさがるのはよくある話ですが、ときには親の期待に反抗し、親子関係がこじれている例も少なくありません。30代、40代になっても自分の思うような人生を生きていないのは、親が自分の期待を押しつけたからだ、あるいは親の育て方が悪かったから自分はこういう性格になってしまったとか、恨んでいる人さえいます。親が社会的に成功していない、親の職業を誇れない、親の容姿が恥ずかしい、などと親を軽んじる子供もいます。こうした考えの子供は未熟なのですが、絶無ではありません。

しかし自分が50代になれば、親はそろそろ体力や気力が衰え始めます。親から与えられ親に頼ったり反発しているステージから、弱くなった親をいたわる、支えるステージに移るのです。

たくさんの女性の中には親から虐待を受けた、ネグレクトされた、姉妹や男兄弟と差別を受けた、と大きなトラウマを抱えている例もありますが、その数は少なく、多くの子供は親のあふれる愛情を与えられる立場でした。その関係が変わるのです。今までの関係が逆転し、親が自分を頼るようになってくるのです。本当の意味で、親から独立するステージに入ったのです。