家の顏ともいえる外壁やデッキ、ガレージ…。劣化や汚れが進みがちな部分です。きれいに維持するには、家づくりにどのような工夫が必要なのでしょう。一級建築士の玉木直人さんが、住まいの外回りに関する疑問に答えます。

外壁のメンテナンス
汚れや劣化が気になる外壁、建主が日頃からやっておくといいことも
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Q1.外壁&屋根材のメンテナンスで建主ができることはある?

外壁のメンテナンス

A.住まいの外回りを点検・メンテナンスする場合はプロの手に委ねるのが基本です。

しかし、外壁材なら日常の点検や洗浄はできるでしょう。とくに台風や地震のあとに外壁を確認し、ヒビや部材のずれ、欠落などが起こっていないかを確かめることはとても大切です。

また、近年の外装材は表面に耐候性を高めるコーティングが施されていることが多いのですが、紫外線や酸性雨、ホコリの堆積などはコーティングの劣化を招く原因です。

やわらかいスポンジを使ってホースの水流で洗浄しましょう。このときに注意するのは上から下へ散水すること。下から上へ散水すると、接合部目地などから漏水の恐れがあります。

 

Q2.風雨に強い外壁&屋根材の組み合わせを教えて

台風や竜巻

A.建築直後はどの外壁、屋根材でも耐候性に大差はありません。それでもあえて挙げるとすれば金属系の外壁材と屋根材はやや優位です。

素材特性として、水のしみ込みやひび割れなどの心配がないためですが、海岸に近い場所では塩害の影響を受けやすく、サビには注意が必要です。結局どの素材を選んでも、点検とメンテナンスを定期的に行うことが、高い耐候性を維持するポイントとなります。

 

Q3.サイディングって継ぎ目が目立つんじゃない?

A.素材の質感を生かせる金属サイディングは、継ぎ目の取り方も壁面の意匠として生かすことができます。しかし窯業系サイディングでは、表面に施された意匠は継ぎ目が目立つと分断されてしまいます。

これを防ぐために、各メーカーは長寿命・高性能のシーリング材を開発して継ぎ目となるシーリング部の劣化を防いだり、表面に継ぎ目が目立たない意匠を施したりなどの工夫を凝らしています。

結果として、現在の窯業系サイディングは継ぎ目が目立ちにくくなっています。

 

サイディングの継ぎ目

一例として、東レのラップサイディングはパネルではなく板状に加工することで、継ぎ目の不自然さがありません。

 

Q4.どうすれば汚れにくい外壁になる?

A.金属系や窯業系の外壁材には、汚れにくく退色に強いコーティングが表面に施されている商品が多くなってきています。光触媒コートや親水コートなどが代表的で、これらは降雨によってホコリや汚れを落とす効果を発揮します。

また、藻やカビの繁茂を抑える成分が配合されていることも多く、藻やカビによる外壁のくすみを抑えてくれます。

とはいえ、これらはクルマのコーティングと同様、効果が永続するものではありません。定期的なメンテナンスで補修コーティングすることも大切です。

 

ケイミューの光セラ

防汚加工でも効果が高いとされるのが、光触媒技術を用いたケイミューの光セラ。太陽光で汚れを分解して、雨で洗い流すというのがその仕組み。手入れ不要で経年の汚れを防いでくれます。

 

Q5.火災に強い外壁材は?

火災に強い外壁

A.構造的に気泡を多く含むALC板が、火災に最も強い外壁材といえるでしょう。しかし、熱伝導率では劣る金属系や窯業系サイディングも防火構造や準耐火構造の認定を取得している商品も多く、そういったものを選べば心配はありません。