家づくりでは、素材や設備の選び方によって、その後の暮らしの快適さに大きく差が出てきます。意外とスルーしてしまいがちなのが、外壁&屋根材。選ぶときにチェックしておきたい6つのポイントと、その種類、特徴を編集部が解説します。監修は、一級建築士の玉木直人さんです。
すべての画像を見る(全12枚)外壁&屋根材を選ぶとき気をつけるべきことは6つ
1.デザイン性
外壁材を選ぶときに、いちばん気になるのがデザイン性ではないでしょうか。外壁材は外観上大きな面積を占めるため、全体のイメージを決定づける重要なファクターです。また、一度完成した外壁材を交換するには多大なコストがかかります。
デザインや色調は、建主の好みだけでなく周囲の環境も考慮することが大切です。一方屋根材は普段見える場所ではありませんが、家全体のイメージや外壁と合わせたデザインを選びましょう。
2.経済性
経済性、つまりコストを考えるときに忘れてはならないのが、施工費用だけでなくメンテナンスフィーも考えておくべきということ。たとえばタイルはほかの外壁材に比べて施工時のコストがかさみますが、メンテナンスフィーは低く抑えられます。これは屋根材にも同じことが言えます。
設計者や工務店にそれぞれの素材のコストや耐久性、メンナンスの頻度などをよく聞き、建設場所の気候特性なども勘案することが大切です。
3.断熱性
一般的には壁内に施工する断熱材によって断熱性をコントロールしますが、外気と接する外壁材を断熱性の高いものにすることでも断熱性能の向上が可能です。
外壁材を断熱性が高い順に並べてみると、金属系サイディング(断熱材一体型)、木質系サイディング、窯業系サイディング、モルタル(塗り壁)となります。一方屋根材は、断熱性に大きな違いがなく、屋根裏の通気層と断熱材の充実が断熱性アップのポイントです。
4.遮音性
とくに都市の住居では遮音性は住み心地を大きく左右する要因となります。気泡を多く含むALC板は素材自体が高い遮音性を持っています。
また、一見すると音を通しそうな属系の外壁材や屋根材は、断熱材と一体型になっている製品を選べば高い遮音性を発揮。雨の音も吸収してくれます。
窯業系や木質系のサイディングはほぼ同等の遮音レベル。モルタルの塗り壁は、素材自体特に遮音性に優れるわけではないので、壁内の断熱材次第です。
5.耐久性
住まいの外殻にあたる外壁と屋根の耐久性は、住まいそのものの耐久性に直結します。ですから高耐久な素材選びをしたいのですが、これは建築後のメンテナンスに大きく左右されます。たとえば現在外壁材の主流を占めるサイディングは、金属系、窯業系、木質系を問わずメンテナンスを行うことが前提で、これは屋根材も同様です。
どちらも水洗いや再塗装などのメンテナンスを定期的に施すことで、本来の耐久性を発揮します。
6. 防水性
住まいを守る機能として最も大切なのは防水性です。現代の外壁や屋根材はおよそどれを選んでも、防水性はきちんと担保されています。問題は経年劣化。継ぎ目のシール材の劣化や金属系素材のさびによる穴、木質系素材の腐朽などを原因に雨が浸透して、内部の構造材を腐食させることがあります。
クルマに車検があるように、住まいも定期的な点検を受けてメンテナンスを施すことが、快適な住まいを長持ちさせる唯一のコツです。