Uターンした建築家・平宅正人さんが、自邸とするために、古民家をリノベーションした事例を紹介します。のどかな田園地帯にある築75年の農家の家が、明るく開放的な住まいへと生まれ変わりました。深い軒に守られた大きなデッキがあって、子どもは家の中と外を自由に行ったり来たり。移住後の仕事の様子についても伺いました。
すべての画像を見る(全23枚)築75年の農家がリノベーションで明るく開放的な家に
平宅さんの家 香川県 家族構成/夫37歳 妻38歳 長男4歳
設計/しわく堂
平宅さんが移住してよかったこと
- 1.希望に見合った空き家が見つかり、理想どおりのリノベに
2.広い家で、子どもが自由に遊べる
3.地元のネットワークが広がり、起業した事業も順調
香川県観音寺市ののどかな田園地帯。田植えの終わった田んぼの奥に見えるのが、建築家・平宅正人さんの家。
「大学時代から、いずれは地元に戻ろうと思っていました。東京に住んでいたときも、そのための準備をしていましたね」(平宅さん)。「私は愛媛の出身。やはり四国で暮らしたかったです」(妻)。
平宅さんは山口の大学を卒業後香川県内の設計事務所へ勤め、その後東京の建築設計会社に転職。東京へは妻も同行し、長男も誕生。「西東京市の賃貸住宅で暮らしていましたが、東京は家賃が高くて狭いですね。だから広い家でのびのびと子育てしたかった」(妻)。
「建築に携わる仕事柄から空き家をリノベーションして暮らすことの可能性を感じていました。東京でもネットで香川の空き家バンクに登録された家をチェックし、帰郷した折には現地を確認。そして出会ったのが築75年のこの農家住宅だったんです」(平宅さん)。
庭で採れた野菜や果実を食卓へ。毎日続く小さな幸せ
家は周囲に下屋を回した、香川では八尾(やつお)と呼ばれる入母屋構造の特徴的なつくり。そこで平宅さんは広く内部が暗いこの家を、明るく開放的にするため20坪ほど減築。6つの座敷をつなげ、梁を表しにした35畳もあるLDKを中心に、暮らしやすさとインテリア性を兼ね備えたプランに再構築したのです。
仕事は高校時代の友人とその友人の3人で、建築デザインを中心にした暮らしづくりカンパニーを起業。
「子どもは家の中と外を自由すぎるほど自由に行き来して遊んでいます。庭に植えた野菜や果物にも興味津々ですね。今朝もジューンベリーの実を摘んできてくれました」(妻)。
鳥や虫の音の聞こえる豊かな自然。庭には家庭菜園。美しくリノベされた家で、3人の穏やかな毎日が紡がれていきます。