ペットの柴犬の写真をツイッターに投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。第49回は、「8歳の犬の夏」についてです。
かけがえのない犬の「8歳の夏」
「8歳の犬」と聞けば若々しく思うかもしれないが、色んな所で変化が現れてきている。遊び方や散歩といった生活習慣が微妙に変わってくる年頃ではないかと接していて感じる。
●CASE.1
すべての画像を見る(全14枚)すっかり夏の恒例行事となっている川遊び。昨年inubot回覧板にも書いたが穴場を発見して、お母さんと犬と車を走らせた。だが到着するとすでに三世代の家族連れがいたのだ。…穴場ではなかった、としょげつつも、広々とした河原なので家族連れとは離れてより下流で遊んでいた。
チャッチャッ…と水面に波紋を浮かべながら川に入っていく犬のあとを追いかける。日差しはあるけれども森の中は風通しがよくて不思議な清涼感に包まれている。素足に触れる真水の気持ちよさったらない。犬も同じ気持ちかは分からないが、自ら川に入っていって出ていかないのを見ると、まあ不愉快ではないのかな。
昨年もややそんな兆候があったが近年の犬の川の過ごし方といえばもっぱら足湯、たまに水中ウォーキングである。以前のように積極的に泳ごうとしなくなった。
それが嫌ではないし、泳ぐも泳がないも犬の自由だ。ただこんなふうに変化が見られるのがおもしろい。
そして今年もプール開きをした。汗だくになりながらプールを倉庫から持ってきて、汗だくになりながら組み立てる。それをじ~と見ている犬。はたして犬以外のだれかのためにこれほどの滝汗をかいて動けるでしょうか。私は犬の父親でありたいし母親で姉で妹で友達の役割もすべて担いたい。
プールに水を溜めていると瞳を輝かせて眺めている。そして勢いよくプールに飛び込んでいく! 私がプールに向かってボールを投げればボールをくわえて、私のもとに持ってきてくれる。それを数回繰り返していたら、ボールを追いかけていかなくなった。
「もういいの?」と尋ねるも犬はもう休憩…体育でいう“やすめ”の体勢に入っていた。
以前より遊びに費やす時間が短くなったが、短くとも夏らしい遊びができてよかった。また妹が帰省できたらプールに水をためよう。
●CASE.2
年を取ると人は頑固になると言うが犬も同じなんか。もともと車に乗るのが好きな犬だが、散歩に行こうと車の横を通るとそこから動かないことがあるのだ。犬はグッと腰を据えた姿勢でテコでも動かんぞという意志を感じる。
「車乗らへんよ、行くで」と言い、歩こうとするも犬は動かない。ここで不思議なのが、私が根負けして車の鍵を取りにいったん家に戻ろうとしたら、あんなに頑なに動かなかった犬が突然歩き出して私を追い抜いていくのだ。
「さっきまでのいやいやはなんだったんですか?」とその背中に問いかけるも、犬は家に向かってルンルンで駆けていってしまう。そして普段かばんを置いている椅子まで私を誘導し、私がかばんを持ったのを見るとふたたび車のもとへUターンするのだ。あんた全部お見通しってわけ?