コンパクトな敷地の2、3階建て住宅はどうしても窮屈に感じる間取りになりがちです。「スキップフロアで上下階をつなげ、ワンルーム的な家にすると、断然広く感じることができますよ」。そう語るのは、一級建築士の石川淳さん。スキップフロアとはどんなものなのでしょう。自身が設計した住宅を例に、小さな家でものびのび暮らせる間取りプランを解説します。
すべての画像を見る(全9枚)上下のつながりと変化のある空間を楽しめるスキップフロア
よほど大きな家でない限り、2階、3階と、単純に部屋を積み上げるだけでは、開放感が感じられず、窮屈な印象になりがちです。吹き抜けにすれば、確かにつながりは大きくできます。ただ、限られた床面積を、吹き抜けでムダ使いしたくないという人もいるでしょう。
そこで有効なのが、スキップフロアです。これは、半層ずつ部屋を積み上げる手法のこと。上下のつながりがつくれて、変化のある楽しい空間ができあがります。
具体的な事例を紹介していきましょう。
Case1.幅3mに敷地に、暮らしやすく伸びやなかLDKを実現
こちらは、夫婦2人と妻の母の3人が暮らす家です。敷地は幅が3mしかありません。手前がダイニングスペースで半層上がったところがリビングです。
そして、リビングの下階が母の個室とトイレのあるフロアです。食事の支度などはおもに母が行います。ですから母室は、ダイニングの近くに置きたかったのですが、平面的な広さがたりないため、スキップフロアで解決しました。
母室からは、ダイニングキッチンに半層上がるだけで行くことができます。また、ダイニングからトイレへ行くのも、半層下りるだけですみます。
さらに、ダイニングとリビングも半層上げることで、変化のある一体空間にする事ができました。
まさにスキップフロアならではの解決方法です。
Case2.気分を切り替えられるスキップフロアのLDKとアトリエ
こちらは、絵画の創作活動をする夫婦の家です。ダイニングキッチンからは、上層のリビングと下層のアトリエを同時に見渡すことができます。家事をしながらでも、一瞬のひらめきがあったときには、下階に下りて創作活動にシフトできます。
逆に、創作活動から、気分転換に台所仕事へとシフトすることもスムーズ。
それでいて、リビングでくつろいでいるときは、仕事場のアトリエは見えません。それぞれの場所から、ダイニングキッチンとのつながりがとれるように設計しています。