●大人に誤解され続けた妻

一方、妻である私はというと、先生や周りの大人に誤解されることが多かったです。

私は家庭環境やアスペルガー気質のせいなのか、ものすごく無表情でした。母が私に「あなたは0歳の頃からずっと、予防注射でも一度も泣いたことがない、顔の表情も変わらない」と言われていました。どんなことが起きても笑わない、泣かない私を「生意気な、達観している子」と思う先生もいました。

私は、笑いたいし泣きたいときもありました。でも表情筋が発達していないことや、人の反応が怖くて体や顔で表現できなかっただけなのです。しないのではなく、できませんでした。

女の子
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そして小学生のとき、先生につけられたあだ名は「無表情」です。特にいじめというわけではないのですが、「表情を出したいのになあ」というモヤモヤが常につきまとっていました。

また、これもアスペルガーのせいか性格のせいかわからないのですが、物事を物理的に捉える癖があり、感情を話す前に物理的にどうなっているのかを言葉で伝えることが多かったです。あたかも冷静に見えてしまうのですが、これは冷静だったのではなく、このような発想しか持てなかっただけで、決していきがっていたわけではないのです。

このような私を嫌う先生もいて、すごくがんばってテストで90点以上を取り続けたときも通知表は5段階中5にはならず、4か3にされました。いくらがんばっても内申点が上がらない、受験にも響くと思うと軽くパニックになりそうでした。
学生の私にとっては学校がすべてであり、逃げ場がありません。しかし先生の言うことを聞いて、明るく素直に真正面から先生を見て「はい! わかりました!」と言えない自分でした。人と目を合わせるのすら苦痛だったので、合わせたくないわけでもなかったのに、誤解に誤解が重なって、その先生はものすごく私を嫌いました。

表情のせいで「嫌な女」と先生に言われたこともありました。なぜ私は大人に嫌われるのかまったくわかりませんでした。