グラフィックデザイナーの西出弥加さんと訪問介護の仕事をする光さん夫妻は、夫婦ともに発達障害という共通点があります。妻はASD(自閉スペクトラム症)、夫はADHD(注意欠如・多動症)の特性をもち、お互いに心地よく暮らすため長年別居婚を続けていました。 ここにきて同じ場所に住むことになったものの、実情は別居状態と言います。その暮らしの実態を妻の弥加さんに語ってもらいました。

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光と弥加
夫の光さん、妻の弥加さん
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同居しても別居状態?変わらず仲良くいられる暮らし

前回、私たちは別居婚から同居を始めたと書きましたが、じつは現在でも私たち夫婦が顔を合わせる時間は1週間に3時間ほどです。居住空間は同じですが、一緒にいる時間だけ考えると、ほぼ別居状態であるのは変わりありません。

●常に時差ボケ状態の妻。もともと同居は困難

私はもともと生活リズムが整わない体質です。眠くなる時間がまったく決まらず、夜に寝る時期もあれば朝に寝る時期もあったりします。自分ではなく他人の睡眠リズムを変えようとしているのかというくらい困難です。

社会に出て約10年、いろいろな手段を用いてもこの性質を変えることができませんでした。わざわざ時差のある国に行って戻ってきて睡眠リズムを整えるということも何十回としましたが、まったく治りません。ちなみに私は日本に住んでいて常に時差ボケ状態なので、逆に海外へ行くと時差ボケが治るという、体調的には少し生きづらい感覚で過ごしています。

諦めてこのまま生活していますが、誰かと同居するとなると相手に迷惑をかけてしまいます。いつ寝ているかわからない人間と同居することになるので、帰宅しづらいと思います。そして小さな物音で起きてしまうので、すごく広い家か、階層がある家でないと同居は難しいです。そのため、ずっと1人で暮らしていましたし、別居婚を選んでいました。

 

●同居していても一緒にいられる理由は、ともに過ごす時間が“皆無”だから

キッチン
部屋の掃除担当は弥加さん。常にきれいを保てます

まず同じ空間に居られる理由は、光くんが仕事で毎晩帰ってこないからです。

昨年光くんは少し広いワンルームに引っ越しをし、そこに私が住むようになりました。しかし実際はあまり帰らないので私が家の掃除をしたりして、主のような状態です。ADHD気質がある光くんはどうしても掃除ができず、気づいたら部屋もかなり汚れているとう状態になるので、私が掃除をして家のきれいさを保つようにしたのです。

このため、1人でゆっくりと家で過ごすことができています。光くんは介護ヘルパーの仕事でほぼ毎日夜勤に入っており、利用者さんの自宅で寝泊まりをしています。そして夜勤明けに家に帰るとしても、早朝ではなくゆっくりと帰ってきます。私も光くんの帰宅に合わせて起きればいいので、気がラクです。