料理研究家の大原千鶴さんは、暮らしのなかでさまざまな工夫をしています。 子育てを終えて、50代半ばになった今がいちばん楽しいという大原さん。生活を心地よく過ごすコツ、今の生活との向き合い方についてお聞きしました。

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大原千鶴さん
料理家の大原千鶴さんの等身大の暮らしについて聞きました
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忙しい日々を送っている大原さん。新刊『むりなく、むだなく、きげんよく 食と暮らしの88話 茶呑みめし』(文藝春秋刊)そんな大原さんの日々の生活のちょっと楽にできる工夫もたくさん書かれています。洗い米や、水出汁、料理のついでにやっておく「野菜のついで切り」。すぐにマネしたくなるような生活のアイデアが満載です。

●食事づくりは「ついで」を駆使して手間なくおいしく

食事づくり

「自然でおいしいものをいかに手間なく無駄なくルーティンで食べられるか、ということがテーマだと思っています。お米も本当は2時間ぐらい吸水したほうがおいしいんですけど、余裕がないとできないもの。タイマーをつけておくと、夏は水の温度が高いから不安だったりもしますし。でも、冷蔵庫で吸水しきったものを炊くとよりおいしい。出汁も、水で出すほうが味にばらつきがなくて、おいしいのです。

ついで切りも、例えばキャベツ1玉のうち半分を今日の野菜炒めに、残り半分は後日使うために切っておけば、まな板や包丁を出したり、キッチン周りを拭いたり、ということは1回で済むじゃないですか。そういう小さな積み重ねが家事だから、それをまとめていくことで、気持ちに余裕ができるし、楽になるんです。もちろん、ついで切りだって気持ちに余裕があるときだけでいいんです。それだけで、料理がすごく楽になるから」

日々の生活を少しでもよく改善していく。そんな大原さんのモットーから生まれた生活の知恵と言えるかもしれません。そんな中で、大原さんが大事にされているのは、「おいしいうちに調理をする」ということ。

「おいしいうちに使いきって、おいしいうちに生かしてあげる。例えば、アジやイワシでも、3枚におろしたものを買ってきて、先に塩をしておくとか。おいしくするためにやってあげていることはありますね」

●家事が楽しくなかったら、やらなくたっていい

キッチンに立つ大原さん

さまざまなことをポジティブに、手間をなくしてポジティブに生活を変換していっているように見える大原さん。そんな大原さんでも、家事が面倒だと思うことはあるのでしょうか。

「ないことはないですけど、基本的に自分は料理が好きなんだな、と思います。最初は面倒だと思っても手を動かし出すともうおもしろくなってくるから、ストレスは少ないですね。楽しもうと思ってやるのと、面倒くさいな、と思ってやるのは違うから。

楽しめないときは、その日の晩御飯は納豆とご飯だけでもいいんですよ。ちゃんとしなくちゃいけない、と思うから、ストレスになるし、重荷になってくるんです。みんなおしゃれな料理をつくってるから自分もがんばらなあかん、なんてことはないし、ごはんなんて食べられて、明日元気で生きていけたらいいわけですから」