築55年の団地で、元気に前向きにひとり暮らしをしている87歳の多良美智子さん。いったい、どんな毎日を過ごしているのでしょうか? 著書『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(すばる舎)で紹介された暮らしぶりを、少しだけのぞいてみました。

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87歳、古い団地で一人暮らしを満喫。コロナ禍で始めた新しい挑戦も

87歳・一人暮らしの元気チャージは「だれでもできる手軽なこと」

家で一人で過ごすことを楽しんでいる多良さんですが、習い事や趣味の会には、積極的に参加しています。

「昔から、興味をもったものはすぐに挑戦します。ずっと続けている絵手紙も、そのひとつ。ある日、市民センターの作品展を見に行ったら素敵だったので、その日の夜に代表者の方に電話をしました。すぐに見学に行って、先生や生徒さんとも気が合い入会したんです。だれかと一緒とか、誘われるのを待つということはなく、単独行動が多いです。私は『すぐやる課』なのです(笑)」

●お金のかからない習い事へ。週1回は外出してメリハリを

カレンダー
自作の絵手紙をカラーコピーして、毎年カレンダーを作ります。YouTubeの視聴者の方にもプレゼントしました
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今は、地元のNPO法人が運営している高齢者のコミュニティで、絵手紙、写経、麻雀、着物のリフォームの会に参加。長く続けている絵手紙は、教える側にまわっています。ほかにも、市民センターの歌の教室やアマチュア合唱団の「第九を歌う会」にも入っています。新型コロナウィルスの影響でお休みだったり、回数を減らしたりしている集まりもありますが、ならせば週1回くらいはなにかに参加しています。どれも参加費が高くないのも、うれしいポイントだそうです。

「一人暮らしなので、定期的にだれかと話すのは大切ですね。同世代の人が多いので、気持ちが分かり合えます。健康情報を交換したり、ときには、『どんな死に方がいい?』なんて話ができる貴重な場です」

大好きな器が並んだ食器棚。家時間を充実させてくれる、大切なアイテムです
大好きな器が並んだ食器棚。家時間を充実させてくれる、大切なアイテムです

日々は家で好きなことをしてのんびり過ごし、週1回は外出して気分転換。メリハリのある毎日が、多良さんの元気の源のようです。

●70代から始めたラジオ体操とウォーキング。階段上り下りもいい運動に

団地の敷地内の広場で行われるラジオ体操に、15年ほど参加しています。365日休まず開催されていますが、多良さんは雨の日、日曜日、元旦だけはお休みしているそう。

毎朝6時に家を出発。習慣にしてしまえば、面倒だな~と思うこともないとか
毎朝6時に家を出発。習慣にしてしまえば、面倒だな~と思うこともないとか

「スタートは6時半ですが、6時ごろに家を出て、ラジオ体操前に有志でやっている自治体の体操にも参加しています。そのあとのラジオ体操は第一、第二と続けるので、けっこういい運動になります。その後、近くを10~15分ウォーキングします」

じつは、少し前まではウォーキングは30分ほどしていましたが、きつくなったので時間を短縮しました。最初はがっかりしましたが、今はそれを受け入れて、できることをやろうと思っているそう。

「私はいい加減なんです。あまりクヨクヨ悩まない。できないことは、仕方がないとあきらめます。息子から『大股で歩くといいよ』と言われ、効果がありそうだなと思って実践しています」

料理
簡単料理ですが、3食きちんと食べます。団地内のスーパーには、ほぼ毎日なにか買いに行くので、階段を上り下りすることに

それから、いい運動になっていると感じているのは、毎日の階段の上り下りです。古い団地なので、エレベーターはありません。住まいは4階なので、朝のラジオ体操、団地内のスーパーへの買い出し、習い事に行くときなど、1日2~3回は上り下りしているとか。子どもたちからは、「上り下りが楽な下の階に引っ越したらいいのに」と言われていますが、住み慣れた家に愛着があるので、引っ越しは考えていません。

「でも、やっぱり転ぶのは怖い。この間、ラジオ体操に行くとき、ちょっとした段差で転んでしまいました。だから、ゆっくりしっかり歩くように。買い物に行くときは、両手が空くようなリュックや斜め掛けバッグにしたり、無理して重いものを持たないようにしています」。