●週1~2回の勤務。働く時間、働き方は今できることで

新しい職場で働き始めた池田さんは、最初は月12日くらいの勤務。仕事に慣れてきた2年目からは、月21日とほぼ常勤に。その後、90代前半は週3~4日に減らし、今は週1~2回の勤務になりました。

「最近は、勤務日の前日に職場に行って、その日は職場に泊まらせてもらっています。家から職場までバスで通っていますが、バスの本数が少ないので泊まり込みは助かります。夜に手が足りないときは、入居者さんの夕食の介助や夜中に起きてくる入居者さんのお世話をすることもあります。そして、翌日の勤務日は5時に起きて、5時半から仕事を始め、12時に終了。持ってきたお弁当を食べて、家に帰ります」と池田さん。

配膳用ワゴンをひく池田きぬさん
配膳用ワゴンが空いていたら借ります。押して歩くと、移動がラクだそう
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主な仕事は、入居者さんのバイタル(脈拍、呼吸、体温、血圧)測定や食事がとれない人のための胃ろうなど。長年担ってきた看護の仕事の中でも、ごく基本的なことが中心です。「仕事は慣れたことが多いですが、日々、緊張感は持っています。でも、緊急性が高い病院に勤めていたときとは違い、雰囲気は穏やかです」と池田さんは言います。

自分の年齢に合わせて、働く時間、働き方を調整するのは長く働くコツです。若い頃と同じようにではなく、今、できることをするのが大切ですね。

池田さんのこんな言葉が印象的です。

「勤務が終わると、体はえらい(=しんどい)です。でも、家に帰ってくると、『今日も働けた』という感覚が爽やかなんです」

 

●仕事をキチンとこなすために心がけていること

若い人と同じように、キビキビと働けないのは仕方がないことです。ミスしないように、池田さんはどんなことをしているのでしょうか。

「『年取っているからあかんな』と思われても、しゃくやさかい(笑)。『しっかり働かないと』という気持ちは、いつも持っています。若い人のようなスピードは出せないから、自分のペースでさせてもらっています」と池田さん。いつも気をつけている、2つのことを教えてもらいました。

 

・キチンとメモをすること

ずっとしている慣れた仕事ですが、忘れないようにすぐにメモをします。入居者さんの体温、血圧などの数値はもちろん、体調の変化など気になったことも必ず。後で、看護記録をまとめるときも、メモを参考に記入漏れがないように気をつけます。

 

・何事も丁寧にすること

入居さんに胃ろうをするとき、チューブが外れないように丁寧に。ほかの作業でも、少し時間がかかってもひとつずつ確実に。やり直しになると、余計な時間がかかるからです。

さらに、たくさん歩くと膝が痛くなってくるので、最近は、できるだけ歩かなくていいように省力化に努めているとか。

池田きぬさんの足元
最近は歩くのを省力化。でも、職場では気が張っているせいか、普段よりもササッと歩けます

「動き出す前に段取りを考えて、同じ場所の仕事はまとめるように。仕事は減らせないので、歩くのを減らしてラクしようとしています」

 

池田さんの仕事の仕方、いかがでしたか? 参考になることがいろいろありましたよね。もっと詳しく知りたい方は、『死ぬまで、働く。』(すばる舎)をご覧ください。
次回は、「97歳の現役看護師の池田きぬさん・仕事をしながらひとりで暮らす工夫」をご紹介します。

 

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