冬はメンタルを崩しやすい季節と言われていますが、うつのリスクは意外なところにもあると言います。 うつメンタルコーチで、公認心理師の川本義巳さんによると、「メンタルが強いイメージがある体育会系の人ほど要注意」と言います。その理由を教えてもらいました。
すべての画像を見る(全3枚)スポーツをやっている人はうつとは無縁?意外な事実
今年はスポーツ当たり年でしたね。まずなんといっても東京オリンピック・パラリンピックが無事開催されたこと。一時はどうなるか? とさえ言われていましたが、たくさんの感動をいただけたので「やっぱりやってよかったなあ」と今は素直にそう思います。
そしてメジャーリーグでも大谷選手が大活躍しました。私たちが子どものころは「日本人はメジャーでは通用しない」というのが定説でしたが、なんと二刀流での大活躍でした。これもまた夢と希望を多くの人に与えてくれました。最近では日本のプロ野球も日本シリーズで盛り上がりましたね。セパ共に昨年最下位からの躍進は「がんばれば道は開かれる」そう思わせてくれました。
●多くの人が思い込んでしまう「アスリートは強いメンタルの持ち主」
スポーツといえば、一般的に「トップアスリートたちは皆、厳しい練習に耐えてきている」そんなイメージがありますよね。それゆえに「苦境にも強く何より自分を律することができる」といった印象もがあります。それゆえ「スポーツ選手はメンタルが強い」と言われることもあります。じつは数年前に、サポートしていた抑うつの男性からこんなことを言われたことを思い出しました。
「体育会系の人はメンタルが強いからうつにならないのですよね?」
「自分は体育会系ではないからメンタルが弱いと思っています」
それを聞いて私は笑いながらこう言いました。
「そんなことないですよ。現に僕はめっちゃ体育会だったけど、うつになりましたよ」
彼はちょっとびっくりしていましたが、私が元体育会系でうつ病になったのは事実だし、それ以外にも「じつは体育会系だった」というクライアントさんは何人もいらっしゃいました。
一般的に考えられているイメージとは違うわけですね。
実際に現場でクライアントさんと向き合っていると、こういうことがわかりました。
・うつになるのに体育会系か文系かは関係がない。
・メンタルが強い、弱いもあまり関係ない。
・むしろ体育会系の人の方が、リスクが高いかもしれない。
うつは本当に「え? この人が?」と思うような人もなったりします。
それこそすごく元気でアクティブで、なんでも乗り越えられそうな人もなるときはなります。逆に「この人大丈夫かなあ」と思うくらい繊細であったり、ネガティブな人でもならない人はたくさんいます。
うちの母親も結構ネガティブですが、これまでうつっぽくなったことがありません。うつはその人の性格や経験からそうなってしまうと思われがちですが、それよりも自分がうまく対応できない人間関係や環境に出会ったときにそうなる傾向が強いです。いわゆる適応障害のような状態から始まり、その対応できない環境を継続させた結果、うつ状態に変化していったというケースが多いです。そのため、どんな人であれ、対応できない環境に出会ってしまうと、そのリスクは高くなるわけです。