ステイホームの影響もあり、親が家で子どもの勉強を見る機会が増えているかもしれません。
「教えているとイライラしてきて、すごく怒ってしまう」というESSE読者の悩みに、漫画家の瀧波ユカリさんが答えてくれました。
子どもの勉強を見るときについ怒りすぎてしまう…解決策は?
【お悩み】
小学校2年生の長男が学校の勉強についていけていないようなので、家で教えていますが、教えているとイライラしてきて、すごく怒ってしまいます。下の子たちの面倒を見ながらなので、集中して教えてあげられないせいもあるのですが。
コロナによる休校中は、とくに「ちゃんと勉強をやらせなきゃ」と力が入り、キレてしまうことも。夫は育児に協力的だし、実家も近くなのでいろいろ相談できて助かってはいますが、このままだと子どもへの影響がとても心配です。(Mさん・北海道・31歳、夫32歳、長男8歳、二男3歳、長女1歳)
●第一子につい厳しくしがち、キャパがたりてなさすぎ、基準にとらわれすぎ、かもしれません
【瀧波ユカリさんの回答】
今回のお悩み、問題が3つあるように思います。
1つ目は「第一子につい厳しくしがち問題」。最初の子育てだから加減がわからなくて勉強や生活態度など厳しく指導したけど、2人目や3人目はもっとゆるく育てた…という話は昔からよくあります。もしかしたら相談者さんも、その傾向があるのでは?
怒りや焦りを感じたときにはまず「加減がわからなくて厳しくしすぎているかも?」と冷静に疑ってみる。そして「加減がわからないから、ほどほどにしておく」という選択肢を常に用意しておく。こうすることで、行きすぎにストップをかけられるかもしれません。
2つ目は、「キャパがたりてなさすぎ問題」。1歳と3歳を見ながら小学生に勉強を教えるって、人間ひとりがこなせるキャパをゆうに超えていると思うんですよね。お子さんに当たったり、キレたりしてしまう原因の多くがここにあるような気がします。
必要なのは、第三者による手助けです。手助けとは、だれかに下のお子さんたちを見ててもらうか、上のお子さんの勉強を見てもらうかです。コロナ禍での難しさもありますが、パートナーやご両親にももっと関わってもらって心身の余裕を確保し、笑顔を取り戻しましょう。
3つ目は、「基準にとらわれすぎ問題」。ご相談によると、学校の先生も学習塾の先生も「遅れているという印象はない」と言っているのに、それでもなお遅れていると思ってしまうのは、あなたのなかに「これくらいよい成績であってほしい」という高い基準が設定されているからではないでしょうか。それは中学受験だったり、大学や就職だったり、かなり先のことを視野に入れた上で設けたものなのかもしれません。
そのこと自体は悪くはないです。でもその基準を意識しすぎて、目の前にいる自分の子どもの素質や実力を正確に把握しないままに過度に負担をかけてしまうのは健全とはいえません。今わからないことが明日わかるようになる。勉強ってその積み重ねです。そして「わかってうれしい」という気持ちをもてるように導くのが、教える側の仕事です。基準とは一度距離をおき、「わかってうれしい」の積み重ねをどうつくっていくのかに焦点を当てましょう。
ほどほどを意識し、心身に余裕をつくり、子どもの素質や実力を正しく把握し、「わかってうれしい」を積み重ねていける教え方を模索する。もう怒らずに、お子さんの学習サポートを続けていくためにできるこれらのことを、全部やっていきましょう。応援しています!
【瀧波ユカリさん】
1980年、北海道生まれ。漫画家、エッセイスト。アニメ化もされた『臨死!! 江古田ちゃん』(講談社刊)でデビュー。著書に『
30と40のあいだ』(幻冬舎刊)『
ありがとうって言えたなら』(文藝春秋刊)など。