夫婦別姓に反対派の意見。「周りが混乱するから夫婦同姓でいい」

一方で、反対派は、「同じ姓を名乗ってこそ夫婦」(45歳・主婦)、「結婚をするとは名字もふまえて一緒になること」(34歳・会社員)という“一体感”を重視する意見があるほか、多くは「ややこしい」「混乱する」といった理由を挙げていました。現行制度で妻が改姓した直後も、本人と職場で苦労と混乱がついてまわりますが、選択的夫婦別姓制度になると、それはそれでまた混乱が生じるという懸念があるようです。

とくに多かったのが、「家族関係をどう証明するのか」、そして「子どもがどちらの親の姓を名乗るのかは大問題」といった不安です。

赤ちゃんを抱く女性と周りにたくさんの人
別姓に戸惑う人の多くは家族が証明できない問題が気になるようです
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家族の証明方法が明確に見えてこない現時点では、戸籍謄本を取り寄せて証明するのかどうか、疑問に思う人も少なくありませんでした。

「家族を特定しにくい。“○○様ご一家”など使えない」(30歳・会社員)
「私自身は未婚のシングルマザーなので結婚歴がありませんが、家族のつながりは名前も含めて大切だと思うことが日常的に多い」(34歳・会社員)
「子どもの繋がりで親と知り合うときに、夫婦なのかどうかがわからない。いちいち説明してもらうのも面倒」(43歳・自営業)

●夫婦別姓が、“お家問題”に発展!?

そしてさらに多くの人が不安視していたのが、子どもの姓の決め方でした。これにより多くのトラブルを懸念しているようです。

「将来子どもがどちらの名字を継ぐのか。どちらも後継者がいない場合、両家の祖父母を巻き込んでのお家騒動に発展しそう」(32歳・会社員)
「両親が『どちらでもいい』というスタンスなら子どもは好きな方を名乗ればいいだけだけど、どちらもが『自分の旧姓がいい』という場合、もめると思う」(39歳・主婦)
「女性もかなり社会進出をしているので、稼ぎが多い方が子どもの姓を名乗るのが健康保険上の扶養の問題で有利になるのでは。それによって強弱関係も生まれ、離婚も増えないだろうか。稼ぎが少ないのが旦那だった場合、肩身が狭い思いをしないだろうか」(40歳・主婦)
「子どもが複数いる場合、きょうだい同士で姓が別々だと、幼稚園や学校で違和感が生まれないだろうか。本人同士はよくても親世代に理解し難いのではないか」(43歳・主婦)

現行の制度でも苦労。選択的夫婦別姓制度になっても一苦労。いずれにしても混乱と苦労がついてまわるのなら、自分で納得して選んだ姓で苦労した方がいいのかもしれません。

●賛成反対どちらでもない人は「そもそも結婚を選ばないという手も?」

最後に、選択的夫婦別姓制度に対し「賛成でも反対でもどちらでもない」という方の意見を紹介します。

「私は『結婚=夫の姓』になることに違和感なく育ち、『だれと結婚するのか』という話で友人と『この名字は合う、合わない』など楽しく話した思い出もあるから夫の姓でよかった。ただし、もし女性側が自分の名字でいたいならば、無理する必要はないと思います」(43歳・主婦)
「どちらを選んだとしても、結婚するということはなにかしらの障壁はあるんだと思います。そこにひっかかるものがあるのだとしたら、結婚という道を選ばないのも一つでは…」(38歳・会社員)

同姓がいいか別姓がいいかは人それぞれ。個々の事情や考え方、旧姓への思い入れによっても変わってきます。自分とは違う形を選んだ人に対して、たとえ共感や理解はできなかったとしても、「人は人、自分は自分」として、否定や反発をせずに受け止めることが大切でしょう。

<まとめ・文/桜田容子>