給料ダウンやボーナス削減、失業…。コロナによる影響は家計に大きなダメージを与えています。
そんな今こそ、家計を根本から見直すべき。負担の大きい住宅ローン、減らしどころ満載の習い事費や通信費…。どんな費目がどう見直せるのか、ESSE読者の実際の家計表から、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんにポイントを聞きました。
住宅ローンは返済額を増やして返済期間の短縮を!
コロナ禍で夫婦合わせて月収が11万円減。「教育費がかかる今後が心配…」と話すのは、坂上はるかさん(仮名・35歳)。夫(39歳)、長女(9歳)、長男(7歳)、二女(5歳)の5人家族です。
35万円だった月収は、現在24万円。それに対して、住宅ローンの返済額は月7万6000円。
「今の収入では住宅ローンの借入額が多すぎて将来が不安」と畠中さんも指摘します。坂上家の家計で見直すべき、3つの費目について解説します。
まず1つ目は住宅ローン。無理なく返せる住宅ローンの借入額は、年収(額面)の6倍以内が目安。坂上家の場合、減収前でも約8倍と限度を超えています。将来の負担を減らすため、畠中さんのおすすめは、今後妻の収入が増えたら、返済額を増やし、返済期間や借入額を減らしておくこと。
「仮に、月の返済額で約7800円、ボーナス返済1回約1万5600円ずつ増やすと、返済期間が3年短縮され、利息負担も約46万円カットできます。借り換えなどと違って、返済方法を変更するだけなので手数料も割安。融資先の金融機関に相談してみましょう」
<坂上家が返済を3年短縮する場合>月々の支払い 7万5846円
1回当たりのボーナス時の支払い 14万3616円
総支払額 4190万8440円
月々の支払い 8万3667円(7821円アップ)
1回当たりのボーナス時の支払い 15万9223円(1万5607円アップ)
総支払額 4144万2938円(46万5502円ダウン)
※総額3548万円、35年ローン、金利0.975%(変動)で残り返済期間28年の場合。繰り上げ手数料は考慮しない。
●住宅ローンの延滞が気になる人は銀行に相談を!
減収で返済が滞りそうな場合は、すぐに融資先の金融機関に相談を。延滞になると、当初の金利優遇措置が外されて、返済額が一気に増える可能性もあります。素早い対応が必至!
習い事費は月収の12%に抑えるのが理想です
次に気になるのが習い事費。
「家計の負担にならない子ども費の目安は、小学生以下の子ども1人なら手取り月収の10%以内、2人以上なら12%以内。月収24万円の坂上家でいえば、2万8800円が目安です」と畠中さん。
現在は、長女がスイミングと書道、長男がスイミングとそろばんを習っていて、月謝の合計は2万円。さらに通信教育費が2人で年間10万円。これらをすべて合わせても、現状の習い事費は予算の範囲内ですが、この先、二女がスイミングと通信教育を始めると月3万9500円にアップして予算オーバーに。
「子どもともよく話し合って、習い事を1つ減らせないか検討しましょう。予算を決めてやりくりする習慣をつけておくと、今後塾代がかかるようになっても、教育費のむやみな膨張を防げます」
<子ども1人の習い事費の平均額(月)>・幼稚園
公立 6991円
私立 1万3805円
・小学校
公立 1万7871円
私立 5万3907円
・中学校
公立 2万5541円
私立 2万7605円
・高等学校
公立 1万4741円
私立 2万905円
※文部科学省「平成30年度 子どもの学習費調査」より試算(1円以下四捨五入)
通信費はおトクなプランに変更できるか見直して
家計の見直しで、大きなムダを見つけてカットしやすい通信費。
「加入時に不要なオプションをつけていたり、回線を変更したのに以前のルーター使用料を支払い続けていたりするケースをよくみかけます。月500円の料金でも、1年で6000円のムダに」
また、料金プランが実際の使い方に合っているかも要チェックポイント。坂上家の通信費は、携帯電話3台分とプロバイダー料金を合わせて月1万5800円。
「夫が仕事とゲームで使う大手キャリアのプランが高めで、実際の通信料や通話時間と合っていない可能性も。携帯電話会社のサイトで、最適なプランを確認しましょう」
この先もまだまだ不透明で見通しが立たない中、住宅ローンの返済ができなくなるのでは? 教育費や老後資金は…? と、不安の種はつきません。金額の大きな費目こそ、抜本的な見直しが効果的です。家計をラクに回せるよう、早速始めてみましょう。