●シニアこそ自分を機嫌よくする生活習慣を大切に

ものを減らし、すっきりすると掃除などの負担が減ります。りっつんさんは、そうしてできた余白の時間を、もとからある一人時間に加えて、自分をご機嫌にするために使っています。

そうめんやハンバーグなど
冷凍の豆腐ハンバーグを使った「ひとりランチ」(※りっつんブログより引用)
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「シニアの独り身女性は、意識しないと楽しく過ごせません。ですから、自分の気持ちが“上がる”生活習慣を大事にしています。たとえば、食事。内容は大したことなくても、見た目には気を使います。ちなみに今日のお昼は、おにぎり、おみそ汁、小鉢でしたが、これらをすてきな器に盛って並べて気分を上げました。ほかにも、ある日のランチは自宅でもお弁当箱につめ、またある日はカフェのようにワンプレートにするなど、入れ物でも“遊ぶ”ようにしています。お総菜を買ってきたとしても、パックのまま食べるなんてことは絶対にしません。見た目だけでも大事にすると、本当に気分が違うんですよ」

また、身だしなみにも若いとき以上に気を使うようになったそう。

「若い頃は多少手を抜いてもなんとか若さでカバーできていましたが、シニアになると、手をかけている人とそうでない人とでは、歴然とした差が出ます。気を抜いてると、鏡に映る自分を見て、『ああ、老けたな…』と思うのは必然。だからこそ、服は“自分がキレイに見えるもの”だけを残し、美容院にも、白髪染めとカットを使い分けて、それぞれ2か月はあかないよう、マメに通っています。お化粧も、つい手抜きしてクリームとファンデーションが一体型になったBBクリームを使いたくなりますが、自分がキレイに見えるファンデーションの方を使うようにしています」

ハンドクリームと手袋
寒い日はハンドクリームと手袋をしたり、コスメをアップデートさせたりと気を使っています(※りっつんブログより)

食事にも見た目にも気を使うのは、自律的に見えますが、自分を喜ばせ、一人暮らしを楽しむ最大の秘訣のようです。

●血縁より地縁。近所にいる友人といい関係を築く

そして、ご近所づきあい。これは、シニアの一人暮らしには欠かせないと強調します。

「なにかあったときに助け合えるのは、遠くに住む息子夫婦でなく、ご近所の友人。血縁よりも地縁です。私は近所に数名の友人がいます。普段から、とくに用事がなくても通りがかったらピンポンを押して、お部屋には上がらず玄関先で『元気にしてる?』とお話するようにしています。『つくりすぎたからどうぞ』『もらったからどうぞ』というおすそ分けも、いい口実ですね」

カゴにたくさんのお野菜
ご近所さんから新鮮野菜のおすそわけがよくあるそう(※りっつんブログより)

この友人たちは、じつは、かつて子の小学校のPTA活動で知り合いになったママ友。そのときはそれほどつき合いがなくても、時を経るにつれ、関係は変わっていきます。

「関係性はどう変わるか分からないから、会えば挨拶するくらいはしておくと、将来、宝物のような存在になっているかもしれません。逆に、当時は違和感があったママ友たちは自然と離れていき、今は本当に必要な、そして一緒にいて居心地のいいママ友だけ残っているものです」

●なににも縛られないのが独り身のメリット

とはいえ、りっつんさんは、現在の地域に永住することは考えていないそう。

「『ダウンサイジング』のために住み替えはしたくないと言いましたが、じつは、将来的には奈良に住みたいと考えているんです。奈良は、亡き夫と新婚旅行で行った思い出の場所ですし、神社仏閣が好きなので、雨の日は雨に似合うお寺に行き、好天の日は遠くのお寺に足を伸ばす――なんてことをしてみたいんです」

将来的にさらに自分を喜ばせる計画も立てているりっつんさん。
「だれにも、なににも縛られない。それが、シニアの一人暮らしの最大のメリットだと思うんです」

いかがでしょうか。こう聞くと、一人になっても「孤独」が怖くならないはず。

未亡人26年生が教える心地よいひとり暮らし

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りっつんさんのインタビューはこちらもあります:

60代一人暮らし。26年前に夫と死別、でも「孤独」じゃなかった半生