「甲子園」といえばだれもが夏の高校野球を思い浮かべるところですが、俳句で勝負を行う「俳句甲子園」という大会をご存知でしょうか。
毎年、夏に愛媛県松山市で開催。高校生たちが与えられたお題に沿って俳句をつくり、対戦高校とディベートをし合うというものです。

審査委員長として、創設時から大会にかかわっているのが、テレビ番組などでもおなじみの俳人・夏井いつきさん。
夏井さんのコメントとともに、この大会の魅力や見どころをご紹介します。

円陣を組む
数々のドラマが生まれてきた「俳句甲子園」
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生きていくための力を身につけてほしい…俳句甲子園の魅力とは

俳人・正岡子規の出身地である松山市で、1998年から始まった俳句甲子園。全国大会は2日間にわたり、テーマに沿った句を出し合って優劣を競い合います。

●美しいものを美しいと素直に言うこと

「文字になってない部分を想像することができる 思いやれる」

そんな俳句甲子園の“母”であるのが、夏井いつきさん。22年前の第1回から、大会を見守ってきました。

「出場した高校生が、OBOGになって、スタッフとして戻ってきたのを見ると、完全に親戚のおばちゃんの気分」と夏井さん。

「美しいものを美しいと素直に言える、正しいことを正しいとはっきり主張できる、(俳句の)文字になってない部分を想像することができる、思いやれる…それは、人間が生きていくうえでものすごく大事な力なんです」

大会創設から22年、理念はずっと変わらないと言います。

「俳句甲子園というのは生きていくための力を、俳句を通して高校生たちが身につけていってほしい、成長していってほしい。そういう願いから出発している大会なのは、大会創設から22年たってもなにも変わらない。そういう目で俳句甲子園を見ていただきたいと思っています」

SNSで、匿名でいくらでも言いたいことが言える時代。そんななか、高校生たちが自分の感情や感性を17音に込めて、多くの観客の前で披露し、勝負する…今の時代、とても貴重な教育の“現場”なのかもしれません。

●高校生たちによる、心を打つ名句

大会会場

大会には1000を超える句が提出されています。数多くの心を打つ名句が生まれてきました。

そのなかから3つの句をご紹介します。

土臭ふ原爆ドーム夏の月

(愛媛県立今治西高等学校 川又心美さんの句)

祖母にまたサルビアの名を教へけり

(埼玉県 星野高等学校 徳丸琴乃さんの句)

鞦韆やこげばごくほどすれちがう

(秋田県立秋田西高等学校 天野玖音さんの句) ※鞦韆とはブランコのこと

発表をする女性

また、俳句をとおして切磋琢磨し、成長していく高校生たちの姿そのものも、大会の見どころ。毎年、挫折・涙・成長…さまざまなドラマが生まれています。

『俳句甲子園ドキュメントDVDブック2019年度版~17音の物語~』

(扶桑社刊)は、そんな高校生たちの等身大の姿を追いかけたドキュメント。数多くの俳句やドラマ、夏井いつきさんのコメントなどが収録されています。

俳句甲子園のYoutubeチャンネル

では、 DVDのダイジェスト動画も視聴可能。ぜひチェックしてみてください