●価値観はそうそう簡単に変えられない

「叔母が熟年結婚しました。相手は元職場の同僚で、飲み仲間だったそう。経済的、精神的には安定していますが、お互いライフスタイルが完成しているので、他人に合わせて暮らすのが若い人より大変そうです」(44歳・講師)

若いころなら、お互いに歩み寄る努力のなかで、結婚生活が成り立つこともあります。ですが、熟年ともなると、仕事やライフスタイル、生活の価値観も今更変えにくいという声も目立ちました。

●連れ子や孫との関係にも影響が!?

「好きな歌手のコンサートに行って、会場で出会ったバツイチの男性と結婚した知人。50代同士だったので、当初は落ち着いて見えましたが、のちに男性が離婚した理由や子どもとの関係にウソがあったとかで、かなりもめていました」(34歳・自営業)

「働いていたスナックのお客さんだった男性と主人の母が50歳で再婚しました。しかし、お相手が自分の孫ばかりかわいがるので、結局は離婚しました」(40歳・主婦)

子どもや孫がいる場合、彼らとの信頼関係を築くのに苦労をしたり、時間がかかるケースも多いようです。若い頃のように、当事者の相性がよければいいというわけにはいかないもの。
一方で、健康問題が生じたときには、パートナーが肉親以上に力になってくれたというエピソードも…。

●最期に一緒にいたいと思える人

「実母が最近、再婚しました。母は運送会社で働いているのですが、その配達先で知り合った方です。当初、再婚する気はなかったらしいですが、旦那さんが大動脈解離で倒れ、命の危険と直面した際に家族になりたいと思ったらしいです」(32歳・会社員)

「死」という言葉が頭の片隅によぎったとき、一番大切な人がはっきりわかることもあります。それはもしかすると、肉親以上に大切な人なのかもしれませんね。

●籍を入れることで病院の手続きがスムーズに!

「義理姉が筋無力症を患っており、入退院を繰り返すなか、『どちらが先になるかわからないが、葬儀まで面倒みさせてください』というプロポーズの言葉を受けて熟年結婚しました。病院では、書類や入室制限等、家族でないと不便なことだらけ。なにも変わらないかと思ったけれど、入籍してからは手続きがスムーズになったそうです。また、お金関係で頼ってしまう申し訳なさもあったそうですが、そういう壁もなくなりとても安心感が増したと話していました」(33歳・会社員)

健康面において頼れるパートナーがいるというのは、熟年層にとって大きなメリットと言えます。
しかし、お金のところは、当事者だけの問題ではなくなる場合もあるので注意が必要かも…。

●子どもの相続割合が減ってトラブルに発展

悩む男性と議論する男女
熟年再婚の場合、相続でモメることも…(※画像はイメージです)
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「友人のお父さん(60代)が、難病で寝たきりの生活を送っていたお母さんのために雇っていたヘルパーさんと熟年再婚しました。長い闘病生活を共に過ごして元気づけてもらっていたようで、友人としても、ヘルパーさんを頼りにし、心強い思いをされていたようです。
しかし、結婚後すぐに退職金で新しい家族のために家を建てたらしく、もめてしまった様子。籍を入れたことで、子どもの相続の割合も低くなってしまっていました」(43歳・公務員)

結婚すると、相続のときに、子どもの持分に影響が出ます。
高齢化がますます加速していく今後の日本。「後妻業」や「親族間での囲い込み」といった、映画やドラマのような事件も、もはや他人事ではありません。

親世代の恋愛は、なかなか首を突っ込みにくい部分でもありますが、「婚姻」という法律面での強い結びつきは、介護や相続時に複雑なトラブルを引き起こしやすい…という意識をもっておくといいかもしれません。