9月は防災月間。防災対策はできているか、振り返る人も多いのではないでしょうか。
「私が住む愛知県は南海トラフ巨大地震の恐れがあると言われています」
と話すのは、ライフオーガナイザーの香村薫さん。
災害時のための食品備蓄を、日ごろから意識していると言います。
「愛知県が2017年に3000名を対象に実施した食品備蓄(3日分以上)の調査によると、備蓄しているのは全体の32.7%に過ぎません。全国各地で想定外の災害が続き、惨状がメディアで報じられているのに、どうしても自分ごととしては考えにくい、というのがリアルな現状なのかもしれません」
今回は防災士と片づけの資格をもつ香村さんに、実際に電気とガスを7日間止めて災害体験をした経験を踏まえて、食品の備蓄に必要なものを教えてもらいます。
災害が起きたときのために必要な食品備蓄を把握しよう
●冷蔵庫には家族の人数×3日分を
非常食というと、インスタント食品や乾パンを思い浮かべる人も多いかもしれません。
「とはいえ、本当に災害が起こったとき、普段買っている食パンが残っているのにあえて乾パンを食べる人は少ないはず。実際、夏に災害が起きて電気が止まったとき、『最初にアイスクリームを食べた』という人たちが多かったそう」
つまり、最初に食べるのは「非常食」よりも「日常消費している食品」なのです。
「そうなると、電気が止まったあとの冷蔵庫っていつまで冷たいの? という疑問がわきます。冷蔵庫の中に入っているものの量にもよるのですが、私の経験上、冷蔵エリアでは電源をきってから5時間くらいで冷たさがなくなりはじめ、完全に室外と同じになるのが冬で36時間、夏だと24時間でした」
一方冷凍エリアは、こちらも中身の量によりますが、必要最低限の開閉しかしなければ、3日間ほどは冷たさを持続していたそう。
「災害で電気が止まった場合、冷蔵庫の中にある食材を急いで冷凍エリアに移すことにより、3日間はその食材で生活していけるということになります」
ということで、冷蔵庫には3日分×家族の人数の食材が常に入っていると安心です。
●飲み物は水以外も必要
飲み物の備蓄も忘れてはいけません。
「こちらも上記の愛知県の調査では、備蓄できている人が33%にとどまっているそうです。私は7日間の被災体験をしてみて、初日にハッと気づいたことがありました。それは、わが家の家族みんな、水を飲む習慣がないということです。普段から牛乳か麦茶、炭酸水を飲んでいたので、いきなり常温の水を渡しても『飲みたくない』と言われてしまいました」
こんな家庭は香村家だけではないはず。
「そこで、常温保存できる豆乳や野菜ジュースを常備しておき、普段から飲み慣れておくことにしました。また、カルピスの原液などを用意しておいてもいいですね。さらに2日目には普段からよく飲んでいたコーヒーが飲みたくてたまらなくなりました。夫は『冷えたビールが飲みたい』と。こんなときのために嗜好品は用意しておくとよいですね」
ちなみに、常温の缶ビールなら2日目の朝に冷凍室に入れておけば翌日冷えた状態で飲めるそう。
「大変なときだからこそ、息抜きできる嗜好品も大切です。電気が止まったらぜひ冷凍室に飲み物を移動させてみてくださいね」
年に1度の防災週間は、自宅の備蓄を見直すチャンスです。
皆さんも、まずは食品と飲料をぜひ確認してみてください。