ワイシャツの汗ジミ、鍋の底の焦げつき、換気扇にこってりついた油など、一筋縄ではいかないガンコな汚れ。新生活に合わせてきれいにしたいところですが、強い洗剤を用意したり、気合を入れてこすったりする必要があると思うと、気が重いもの。

「洗剤を使うコツをおさえておけば、いつもの洗剤でも、落とせる汚れの幅が広がりますよ」と教えてくれたのは、掃除研究家でハウスキーピングコーディネーターのおそうじペコさん。
ペコさんによると、3つのルールを知っているかどうかで、効果が大きく変わるそうです。詳しく語ってもらいました。

洗剤
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適温・浸透・放置で洗剤の効果をしっかり引き出す!

汚れに適した洗剤を使用しているのにもかかわらず、思ったような効果が出ない場合、まずは洗剤の使い方を見直してみましょう。
洗剤の効果を上手に発揮させるポイントは3つあります。

1.洗剤を適した温度で使用する

洗剤は冷たい状態より高温状態で使う方が、汚れが落ちやすくなります。水よりもお湯で食器を洗うと汚れが落ちやすいのも、同様の例です。
ただし、洗剤の成分によっては高温にすることで効果が上がるものと、高温すぎると逆に効果が下がってしまうものがありますので、洗剤ごとに適した温度をチェックしておくことが大切です。

2.汚れに洗剤を浸透させる

汚れの根が深い場合、洗剤を吹きつけるだけでは成分が奥まで届かないことがあります。つけおきなどのひと手間を加え、しっかりと洗剤を浸透させることが大事です。

3.汚れの分解をしっかり待つ

汚れに洗剤の成分が浸透し、さらに分解するためには時間がかかります。じっくり汚れを分解させるため、急がず待ち時間を設けましょう。

3つのルールでガンコな汚れがここまで落ちる!

上の3つのポイントをふまえた具体例を紹介します。

1.洗剤を適した温度で使用する

やっかいな鍋

普通に洗っても落ちない、鍋にこびりついた焦げや油汚れには、「洗剤+熱」の力が効果的に働きます。

沸騰させ5分

鍋に水をはり、重曹大さじ1~2杯を加えて沸騰させ、5分ほどして火をとめます(※アルミ鍋に重曹は使用しないでください。また重曹は医療用、もしくは食用のものを使いましょう。工業用は不可)。

ぴかぴか

湯が冷めてからスポンジで磨くと、軽くこするだけで汚れがはがれ落ちます! くすみも取れて、ひと皮むけたようにピカピカに。
重曹は油汚れ、タンパク質汚れを分解する力をもっており、熱を加えると炭酸ソーダに変化し発砲します。これによって、焦げや汚れを浮かせて、落としやすくするという仕組みです。

洗濯機

続いて洗濯槽の洗浄。洗濯機の容量10リットルに100gの割合で酸素系漂白剤を溶かし、ひと晩つけおきをします。この場合も洗剤の適温を知っていれば結果は変わってきます。

熱めに沸かしたお風呂の残り湯

ポイントはお湯の温度を40~50℃にすること。少し熱めに沸かしたお風呂の残り湯を使用するとちょうどいいです。しっかりフタをして温度が下がらないようにしましょう。

酸素系漂白剤は50℃以上の高温にすると、漂白作用を持つ活性酸素が加速して一気に出てしまうため、逆に効果が下がってしまいます。40~50℃度のお湯に溶かすと、最大限の効果が期待できます。

ふきんや食器の漂白も、フタができる容器に、50℃のお湯と酸素系漂白剤でつけおくと上手に漂白できます。

2.汚れに洗剤を浸透させる

 

カビの根までじっくり成分を浸透

お風呂場のガンコなカビ。洗剤を吹きかけるだけでは流れてしまってほとんど効果はありません。
カビ取りには洗剤をしみ込ませたペーパータオルを壁にはりつけ、さらに上からラップをして、カビの根までじっくり成分を浸透させます。
塩素系漂白剤の成分の「次亜塩素酸ナトリウム」は乾きやすいので、ラップパックをするのがとくに効果的です。

※塩素系漂白剤は、クエン酸などの酸性のものと混ぜると有毒ガスが発生するので、絶対に同時に使用しないでください。塩素系の洗剤を使用する場合にはゴム手袋をして、必ず換気を行うようにしましょう。

3.汚れの分解をしっかり待つ

油汚れの漬け置き

換気扇などのひどい油汚れのついたものは、酸素系漂白剤のつけおきが効果的。40~50℃のお湯に大さじ2、3杯の酸素系漂白剤を溶かした溶液をつくり、耐熱性のあるポリ袋に入れて2、3時間つけ込みます。この際、ガスが発生するのでぴっちり密封しないようにします。

※アルミ素材の換気扇やコーティング加工してあるものは、変色変質の恐れがあるので中性洗剤を用いてください。
※酵素系漂白剤で手荒れすることもありますので、ゴム手袋をしましょう。

細かいフィンの間

じっくりつけおき時間を設けることで、汚れを元から分解。細かいフィンの間にこびりついた油汚れも簡単に落ちます。

ワイシャツ

ワイシャツの襟についてしまった真っ黒い皮脂汚れのもきれいに落とせます。

洗面器に入れたお湯

洗面器に入れたお湯にセスキ炭酸ソーダ大さじ1弱を溶かしたものを用意。ひと晩つけおいてから、石けんで部分洗いをして洗濯機へ入れます。

真っ白に

黒い筋のような皮脂汚れがきれいにとれて、真っ白になりました。

セスキ炭酸ソーダは重曹の10倍のアルカリ度があり、皮脂などの油汚れに有効です。セスキスプレーをして洗濯するだけでも効果はありますが、つけ込み時間をつくると、しっかり汚れを分解するのでよりきれいな仕上がりになります。

※セスキ水…水100ccにセスキ炭酸ソーダを小さじ1/2ほどを溶かしたもの。スプレーボトルに入れておくと、使い勝手がいい。使うときはゴム手袋を使用する。

●まとめ:放置した汚れは、コツを意識して落とす!

一般的な汚れは、通常の使用方法で落とすことができます。でも、放置してこじれてしまった汚れには、ただなんとなく洗剤を使用するのと、3つのコツを意識して使用するのとでは、効果が断然違ってきます。

ぜひ次回のお掃除の際にはこのコツを思い出して実践してみてください。