パリ郊外の自宅近くでの弓さん
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パリ郊外の自宅近くでの弓さん「大好きなものだけに囲まれて毎日を過ごしたい。けれど、できるだけ暮らし回りはシンプルに…」。そう願う人は多いでしょう。でも、実際その境地に至るまでには、さまざまな試行錯誤を経て、時を重ねることが必要です。

 いくつもの経験を積んで理想の暮らしを実現した弓(ゆみ)・シャローさんは、パリに住む79歳の女性。『

パリが教えてくれたボンシックな毎日 ときめくものだけシンプルに。暮らしのセンスアップ86の秘訣

』(扶桑社刊)の著者でもあります。そんな彼女に、楽しみながらすっきりと暮らすコツを教えていただきました。

心地よい暮らしは「好きなものだけ」を大切にすることから始まる

ヤシの木柄のファブリックでまとめたダイニング
ヤシの木柄のファブリックでまとめたダイニング

 弓さんは、パリに渡って今年51年になるパリジェンヌ。ファッションとジュエリーのデザイナーとして長年活躍し、現在はパリ郊外の瀟洒なアパルトマンで1つ年下のフランス人の夫と悠々自適の毎日を送っています。

 そう聞くと、住まいはラグジュアリーな品々であふれんばかり…と想像してしまうかもしれません。ところが、高い天井と白い壁が広がる弓さんの家の中は、驚くほどものが少なくすっきりとしています。

「家の中にあるのは好きなものばかり。特別高価だったり価値があったりするわけではありませんが、家具も食器も好みのテイストにこだわっています。好きなものしか、もういらないの」と弓さん。

 キッチンやダイニング、リビングなど、家の中は夫婦が好きな緑色とコロニアル様式でまとめています。ファブリックは、弓さんが好きなヤシの木柄で統一されていて、居心地がよさそうです。

インテリアの基本は「見せない収納」。でも楽しい工夫が満載!

 広いリビングで目を引くのは、木製の家具と家族の写真、そして趣味で収集しているというアンティークのピエロたち。

インテリアの基本は「見せない収納」

 じつは隠れたところに驚きの仕掛けがあります。というサイドボードらしきものの扉を開くと、中からテレビが…。電化製品はインテリアとしては存在を主張しすぎなので、観るとき以外は扉の後ろに隠しているのです。ちなみにこの収納家具は蚤の市で買ったお気に入り、フランスの昔のキッチンで使われていたパンこね台です。夫のクロードさんがテレビ収納に向けてリメイクしてくれました。

 また、パキスタンでオーダーしたというミニのライティングビューローのような形をした小振りの家具の扉を開くと、きれいに並んだアペリティフ用のお酒のビンが出現。普段は、ラベルや色合いなどが目立つボトル類を隠し、開けたときだけ小さなバーカウンターが現われるという仕掛けに。

 特大のトランクは、インテリアのポイントです。イタリアのプリンセスのものだったそうで、弓さんはこの中に洗い替え用のシーツやタオル類を収納しています。

「好きなものだけ」に囲まれた家は運気が強い!?

 食器やカトラリーなどはお客さま用、夫婦の普段使い用とあまり細かく分けずにいくつかの気に入ったものをフル回転。リネン類も同様に。

 ものを多く持たない工夫をして、今、家の中にあるものはすべて把握。管理や手入れがラクになるようにしています。大好きなものたちは毎日見ても飽きないどころか、見るたびに、ますます愛着がわいてくるそう。

「風水を勉強している知人の話では、家の中に住人に愛されているものが多い家は運気が強いのですって。そうするとわが家はかなり運気が強い家ってことかしらね。訪れる人もみんな、この家には愛があるって言ってくれるのがうれしいのよね」と弓さんはにっこり。

 では最後に、すっきりと心地よく暮らす秘訣は?

「あまり掃除を一所懸命しすぎないことかしらね。それと、トイレを清潔にして洗面所の鏡をこまめにピカピカに拭いていくこと。あと、わが家は犬がいて抜け毛が目立つので床だけ掃除機を2日に1度。それ以外はあんまり神経質にならないようにしています」

 79歳のパリジェンヌ。その柔軟なアイデアは暮らしの本質をとらえた納得のいくものでした。