睡眠にとって大切なのは、時間の長短より質。そう教えてくれるのは、睡眠専門医の坪田聡先生。肝心なのは、「時間が短くても、朝、スッキリと目覚めることができる爽快感、よく眠ったと実感できる熟睡感、体の疲れがとれたと実感できる満足感の3つがそろうことです」。
【質のいい睡眠に必要な3つの条件】
すべての画像を見る(全4枚)●満足感
体にコリや痛みなどの不調が残ることなく、ひと晩眠ったら疲れがとれているときは、満足感が高い睡眠が得られた状態
●熟睡感
朝、起きたときに「よく眠った!」と感じられたときは、熟睡できた証拠。睡眠時間の長短は気にせず、熟睡感があれば大丈夫
●爽快感
自然に、または目覚まし時計などの音でパッと気持ちよく起きることができ、すぐに行動を開始できたときに得られます
入眠後の3時間が大切!この間に2回訪れるノンレム睡眠が決め手に!
質のいい睡眠を得るには、入眠後の3時間が勝負。「夜の眠りは、脳を休ませるノンレム睡眠から始まり、次に体を休ませるレム睡眠が現れます。この2つを合わせた周期は約90分。眠りに入ってから、1周期目と2周期目の約180分=3時間が、脳と体を癒してくれます」。
また、深いノンレム睡眠時には、大量の成長ホルモンが分泌され、筋肉や骨の細胞を増やし、体のダメージを修復。眠りが深いほど盛んに分泌されるので、熟睡できる環境づくりも重要なのです。
睡眠と成長ホルモンの関係
熟睡するための環境づくりを!2つの基本を守りましょう
【基本1】19時から21時の睡眠は禁止!就寝前は深部体温を下げて
人間は体温が高いと活動的になります。逆に、体の中心の深部体温が低くなると、自然と眠くなります。一日で体温がもっとも高くなるのが19~21時で、この時間帯に寝るのはNG。睡眠の質を低下させるおそれがあります。また、深部体温を下げるには、就寝の1時間前までに入浴して汗をかくなど、熱を体外に逃がすことがポイントです。
【基本2】寝室はあくまで「寝る場所」に限定する
布団に入ってからテレビやスマホを見たりするのはもちろん、寝室に食べ物を持ち込むのも禁物。寝室で睡眠と関係のないことをしていると、「この部屋は眠る部屋ではない」と脳が思い込んでしまいます。ですから、寝室では寝る以外のことはせず、「寝室=睡眠の部屋」と条件づけすれば、寝室に入るとともに眠れるようになります。