女性が閉経を迎えるのは50歳前後。その前後5年間、45~55歳くらいまでを更年期といい、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少することによって、心身にさまざまな不調が起こる時期でもあります。ところが今、35~45歳で更年期と同じような不調を抱える女性が増えているとか。その事情を婦人科医の善方裕美さんに伺いました。
30代から忍び寄る更年期のトラブル
「18、19歳から、44、45歳までは、更年期に対して成熟期といい、女性ホルモンが十分に分泌され、月経周期が安定する時期。妊娠・出産にも適し、女性の体がいちばん充実するときです。ただ、45歳になったら急に更年期にきり替わるわけではありません。卵巣機能は成 熟期後半から徐々に低下し、女性ホルモンの減少や自律神経の乱れが起こり始めます。つまり、35~45歳はプレ更年期でもあるのです」。
卵巣の機能や寿命には個人差があり、それによって閉経時期や更年期の症状にも差が出ますが、プレ更年期をどう過ごすかも、大きなカギとなります。「卵巣の寿命は、遺伝的要素のほか、酸化ストレス(環境ホルモンや空 気汚染、薬物、ニコチンなど、体を酸化させるもの)、家庭や仕事でのストレスといった環境因子、生活習 慣などにも大きく影響を受け、人によっては10年違ってくることも。 更年期に不調がひどくなってからあわてても、残念ながら手遅れです。プレ更年期の、できるだけ早いうちに手を打つことが肝心」と善方さん。
まずは、自分の体をよく観察し、更年期にはどんな変化が起こって、そのケアになにが必要なのか、正しい知識をもつことも重要。「プレ更年期は、不調を感じ始めていてもまだまだ元気なので、過信してフル回転しがち。しかも、家族の世話や仕事で手いっぱいで、自分の体はあと回しにする女性が多いんです」。
そこで今回は、意識しにくいプレ更年期の目安がわかるチェックシートを用意してみました。また、あわせて生理の変化についても紹介。まずはぜひ、自分の体の変化をチェックしてみましょう。
Check!「プレ更年期」チェックシート
プレ更年期に起こる体の変化や不快な症状は更年期障害の前触れ。心当たりが多いほど、要注意です!
■ 生理の周期が不安定になってきた
■ ほてりやのぼせを感じる、汗をかく
■ イライラしやすくなった、落ち込みやすくなった
■ 頭痛がする、首や肩の凝りがひどくなった
■ めまいや耳鳴りがすることがある
■ 寝つきが悪くなった、よく眠れない
■ 腰や手足の冷えを感じる
■ 肌のたるみ、カサカサが気になる
知っておきたい生理の変化
卵巣の機能の変化は、毎月の生理に確実に表れます。きちんと観察することで、今後の変化に対応する備えにも
量:
更年期に向けて、経血の量は徐々に少なくなっていく傾向に。急に量が増えた場合は子宮筋腫などの疑いも
周期:
本来、正常な月経周期は25~38日。卵巣の機能が低下してくると周期が一定でなくなり、長くなったり、短くなったり、バラバラに
期間:
1回に3~7日ほど続くのが一般的だったのが、短くなったり、長くなったりと期間も乱れがちに。少ない出血でダラダラ続くことも
色:
経血の色がそのときどきで違うのは、更年期とは無関係。体内に長くとどまると酸化して黒ずみ、さっと出たものは鮮やかに
その他:
プレ更年期からおりものが減り、自浄作用が低下。また、月経痛は楽になる人が多い一方、なかには期間が長くなって重くなる人も
<取材/ESSE編集部>