閉経前後にあたる更年期の手前の時期「プレ更年期」。頭痛や集中力の欠如、多汗に情緒不安定など、さまざまな体の不調が生じる、女性にとっては大変につらい時期です。こうした悩みを軽減するにはどうしたらよいのでしょうか?医師の対馬ルリ子さんに聞いてみました。

7つの心がけで悩みが軽くなる

一日の摂取カロリーは1600kcal程度に
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(1)一日の摂取カロリーは1600kcal程度に

 プレ更年期を過ぎると代謝が低下して体重が増加傾向に。生活習慣病にもつながるので一日1600kcal程度の摂取カロリーを目安に、暴飲暴食は避けて。スイーツなどどうしても食べたかったら、できるだけ食後すぐに!血糖を上げず糖代謝を悪くしない工夫です

(2)筋力を上げることを心がける

 女性ホルモンが減ると筋肉維持の働きも低下。筋肉が減ると関節痛や腰痛などの原因に!また基礎代謝量もダウンするので、どんどん太りやすくなってしまいます。筋力を上げるために無理に腹筋や腕立てなどの筋トレをしなくてもOK。日々の生活のなかでの動作を意識して行うだけでも、筋肉は鍛えられます

(3)女性ホルモン減少を補う食材を取り入れる

 食材に含まれている栄養素には女性ホルモンがサポートしていた働きと同様に作用するものも!積極的に食べたい食材は、家族の食事のほかに「マイ小鉢」でプラスしたり、間食用に常備したり、工夫して取り入れましょう。お茶で取り入れるのもひとつの手。ただし食べ方がかたよってしまうのはNG。バランスのよい食事がベースであることを忘れずに(詳しくは

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(4)うっすら汗が出るくらい動く

 代謝をできるだけ上げるため、少し汗ばむくらいの動きを20分以上続ける有酸素運動は有効。普段から汗をかいて汗腺を鍛えると、多汗を予防する効果も。毎日ウオーキングなどをするのが理想的ですが、床ふきなど家事で行ってもOK。だらだら動かず、体幹の筋肉を意識するのがポイントです

うっすら汗が出るくらい動く

(5)1日1回ボーッとする時間をつくる

 休まずに脳を使い続けることは、ストレスにつながり卵巣に負担をかけてしまうことに。とくに自分のことをあと回しにしてしまいがちなプレ更年期世代は、気がつかないうちに疲れがたまりがち。リラックスするだけでホルモンバランスはグンとよくなるので、意識的に休む時間をつくるようにしましょう

(6)入浴は毎日。洗いすぎには気をつけて

 冷えは女性の大敵。とくにプレ更年期になると血流が滞り、冷えを感じる人が多くなります。バスタイムはシャワーですませずに、できるだけ湯船につかるように。また皮膚の乾燥もプレ更年期の典型的な変化なので、ゴシゴシと洗うと肌に傷がついて、かゆみなど肌トラブルの原因に。洗い方も見直して

(7)年に1回は婦人科検診を受ける

 女性ホルモンが減少を続ける35~55歳の20年間は、とくに婦人科のチェックを定期的に受けておきたいもの。不調が出る前に婦人科検診受診の習慣をつけましょう。検診をきっかけに、なんでも相談できるかかりつけのお医者さんを見つけられるとベストです。ほかの科の受診が必要な場合も迅速に判断できます

更年期障害で婦人科を受診すると…

更年期障害で婦人科を受診すると…

(1)問診/おもな症状や生理について質問が

持病や今飲んでいる薬についても医師に伝えます。混乱しないようにメモをつくっておくとスムーズ。ほかの病院での検査結果があれば持参して

(2)検査/血液検査でホルモン値をチェック

更年期症状がありホルモンバランスが変化していれば、更年期障害と診断。甲状腺機能など更年期障害と似た症状の疾患について検査する場合も

(3)治療/必要に応じて症状に合った薬の処方や指導

症状によりホルモン補充療法、漢方薬の処方、生活習慣指導などを行います。内科、整形外科、脳神経外科、耳鼻科、心療内科などを紹介されることも

覚えておきたい!ホルモン補充療法(HRT)について

ホルモン補充療法(HRT)について

 ホルモン補充療法は、体内でつくれない女性ホルモンを薬で補充する方法。ほとんどの場合、健康保険が適用可能。最近では薬の形態、作用の強弱など種類が豊富。自分に合ったものを選べば劇的に症状が好転します

[ホルモン補充療法に使われる薬]

・はり薬…パッチタイプ。肝臓や胃腸への負担が少ない

・飲み薬…昔からあるタイプ。肌が弱い人でもOK

・塗り薬…メイク感覚で使えるジェルタイプ