将来のお金について、漠然とした不安は抱えているものの、とくにコロナ禍の今は家計に厳しい状況が続き、目の前のやりくりだけで頭がいっぱい! という声も…。でも、やがて確実に訪れる老後問題。20年後の自分や家族の状況を予測して、貯蓄目標を立てておくことが大切です。将来のお金の不安をなくすために、今のうちにやっておきたいことをお金のプロに解説してもらいました。
すべての画像を見る(全4枚)今の生活から老後の生活を予想して、少しずつ準備を
必要な老後資金は人それぞれ。まずは自分にとって必要な額をつかむのが先決です。「3つのステップで、目安をつかんで」とファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんはアドバイスします。
「50歳以降は『ねんきん定期便』で年金額を確認して、具体的なプランを立てましょう。また、今後は会社員も70歳まで働ける環境が整えられていきます。自分や夫は何歳まで働くのか、50~70歳までの働き方も考えておくことも忘れずに」
また、「50代になると、親の介護問題も視野に入れて」と節約アドバイザー・和田由貴さん。
「親が元気なうちに、介護費用に援助が必要か、話し合って予想しておくのも大事な老後準備です」
●STEP1:老後に必要なお金をシミュレーション
老後の生活費は、今の生活費から予想が可能。
「今の生活費がわからない人は、3か月程度出費をつけて平均値を出しましょう。そこから、老後に不要になる住宅ローンや子どもの教育費などを引いた額が老後の生活費。必要な老後資金は、そこに固定資産税などの特別支出をたして割り出します」(畠中さん)
<生活費の1か月平均は224,390円!(※)>
老後は住宅ローンが終わり、教育費も不要に。逆に、余暇が増えて交際費が増えたり、保健医療費は増加。
「老後の生活費は今の生活費の6~7割になるのが一般的。自分の生活費で予想してみましょう。老後まで住宅ローンが続く人は、今のうちに繰り上げ返済で負担軽減を」(畠中さん)
※65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合
【老後に増える費目】
・交際費 +6,065円
・保険医療費 +2,908円
【老後に減る費目】
・被服費 -6,004円
・交通/通信費 -22,746円
・食費 -13,707円
・教育費 -16,510円
※統計局(2020年)「家計調査報告(家計収支編)」。65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計収支をもとに編集部で試算
<特別支出は30年分を用意>
ボーナスがない老後は、固定資産税や自動車税などの特別支出を貯蓄から出すことに。
「年間の特別支出×30年(95歳~65歳)を準備しておきましょう。加えて、家のリフォームやクルマの買い替え、旅行を楽しみたい人、子どもの結婚を援助したい人はその費用も準備を」(畠中さん)
【老後にかかる特別支出】
□家電の買い替え 10~20万円
□リフォーム費用 50~1000万円
□クルマの買い替え 100~200万円
□子どもの結婚式の援助金 50~300万円
【税金】
□固定資産税 年10~15万円
□自動車税 年2~6万円
●STEP2:年金の平均受給額を確認
会社員や公務員などは国民年金+厚生年金、自営業や専業主婦などは国民年金が受けとれます。
「下の平均額を目安に、老後の収入の目安をつかみましょう。50歳以降は『ねんきん定期便』で、実際にもらえる年金額を確認しておくと安心です」(畠中さん)
●STEP3:たりないお金を把握
老後は、基本的な生活費を年金の範囲に収めるのが鉄則。不足しそうな人は、今から家計の引き締めを。
「どうしてもたりない場合は、生活費の不足額×30年分を貯蓄で準備します。さらに、特別支出の額をたした合計が、準備したい老後資金です」(畠中さん)
例/生活費の不足額:月2万円×30年+特別支出1000万円=1720万円
先の読めない状況にあって、さらに20年後の生活まで想像もつかない…かもしれませんが、老後にかかるお金について、ざっくりでも把握しておくと安心です。ステイホームで家族の時間がとれる今こそ、将来についてのお金のプランを、夫婦で話し合っておきましょう。