52歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した7歳の長男・うーちゃん、里子の3歳の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。
今回は、37℃のお熱で学校を休んだうーちゃんのズル休み疑惑についてです。
誤差のような37℃で小学校をお休みしたうーちゃん。ゲームはダメ!
小1の養子のうーちゃんは朝の支度をほぼ自分一人でするようになりました。毎朝体温を測って健康観察票に記入してiPadで写真を撮って学校の連絡ソフトで送信します。
すべての画像を見る(全4枚)先日、熱が37.1℃あるから学校を休むと言いました。小学校からは37℃以上の熱があった場合、通学をしないようにと言われています。
しかし、僕が測り直すと36.8℃か36.9℃です。寝起きの直後は熱が高めになることはよくあります。しかもとても元気です。
「36.9℃って書いて学校行っておいで」
「37℃は学校行けない」
「何回測ってももう36.9℃じゃないの。ママに聞いておいで」
するとママがリビングに現れて、改めて熱を測ると37℃です。
●もしや小学校でいじめ!?ぽんこちゃんは楽しく保育園へ
それで結局、僕が集団登校の待ち合わせの場所に行き、ほかの子たちに熱があるから休みますと言いに行きました。そうして一日、まるで元気な様子なのに学校を休んでしまいました。
小学校1年生が37℃で学校を休む必要があるのでしょうか。保育園では37.5℃までが平熱扱いです。それが小学校になった途端、37℃にするのは無理があると思います。
今現在コロナ禍で非常に扱いがデリケートな時期ですが、小1なんて保育園に毛が生えた程度の違いしかありません。せめて37.2℃か37.3℃までを平熱扱いにしてほしいです。
本当に熱があったら何度測っても37℃以上のはずで、測り直したら36.8℃や36.9℃になるので、誤差なのではと思います。しかし、子どもにあまり厳しくできないので、仕方なく折れて休むことを認めてしまいました。こんなことで、子どもが本当にダメなことをしたときに諌めることなどできるのでしょうか。
じつは、母は学校でいじめがあって行きたくないのではないかと心配していました。その可能性も否定はできませんが、焦点がぼやけます。
「熱があって休むんだから、おばあちゃんのスマホでポケモンしちゃダメだよ。野球もダメだし、お出かけもダメだよ」と、うーちゃんに強めに言いました。
「ゲームもダメだよ」
すると、それを聞いていた、3歳の里子のぽんこちゃんが
「ぽんこちゃんは?」
と言いました。
「ぽんこちゃんは、いい子で保育園行くからいいよ」
「やったー」
普段は、保育園に行くのを嫌がって大変面倒な思いをして車に乗せて保育園に送るのですが、お兄ちゃんが叱られているのを横目に見ているせいか、やたらと素直にすんなり保育園に送ることができました。
普段は「保育園行かない。ぽんこちゃん、保育園大好きじゃない」などと言って履かせた靴下を脱いだり、水筒を投げたりするのを、車でハイチュウを食べようかなどと誤魔化してやっとの思いで送っているのです。
●休んだなら今日やっていいのは寝てるのと、おばあちゃんのお手伝いとお勉強だけ
保育園にぽんこちゃんを送って戻ると、うーちゃんがリビングで野球のグローブを手にはめて、ピッチングの素振りをしています。
「うーちゃん、熱があって休んでんだから元気出すな。布団に入って寝てなさい。今日やっていいのは寝てるのと、おばあちゃんのお手伝いとお勉強だけだよ」
そのように言い残して、僕は仕事場で借りているアパートに向かいました。
●せめて、ズルで学校を休んで楽しい思いをさせてはならない
たしかに学校は面倒で行くのを休みたくなる気持ちはよく分かります。僕自身、学校は大嫌いでしたが、うちでは父が鬼のように怖くて、しかも自営業で一日中うちにいるため、おっかない父親と一緒にいるくらいならまだ学校の方がましであるという理由であまり休まずに通っていました。
今回のうーちゃんはどう考えてもズル休みです。今のこのご時世で子どもに対して鬼のように怖く振る舞うことなど許されません。
せめて、ズルで学校を休んで楽しい思いをさせてはならないと、みんなから勉強が遅れてしまうことを言い含めて、思いっきり退屈でつまらない一日を過ごさせてあげるくらいしかやりようがありません。ズル休みを許容はしても肯定することはできません。
だけど、ただ言うだけ言って実際のところおばあちゃんのスマホでポケモンをしていても仕方がないと思います。
夜、帰宅して、学校休んでつまらなかったでしょと聞いてみました。楽しかったと言われたらまずいと思ったのですが、うーちゃんは「うん」とちょっとばつが悪そうに頷きました。
翌朝、またしても37℃でした。「今日も学校休むの?」と聞くと、また測り直して36.9℃を健康観察票に記入して元気に集団登校に向かいました。結果としていじめ問題はなさそうです。
【古泉智浩さん】
漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ『
うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(@koizumi69)をチェック!