ペットの柴犬の写真をツイッターに投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている
@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。
第40回は、犬とともに訪ねた3回目の淡路島旅行について。
犬と訪ねた3回目の淡路島。日帰りだけど得たものはそれ以上
犬と淡路島を訪ねるのも三度目になる。一度目は2017年に犬と母と、二度目は2019年に犬と母と父と、そして今度は犬と母と父と妹と。
すべての画像を見る(全36枚)幾度と淡路島を訪ねるのは横山佳奈恵という友人が関係している。横山は淡路島に生まれ、現在も淡路島で暮らしている。私と横山は写真の専門学校で知り合って10年来の仲だ。10月は横山が淡路島のとある施設で作品を展示しているので、緊急事態宣言も解除されたので家族にお出かけを提案した。
コロナ感染拡大対策として、全員がワクチン2回接種済み、自宅から車移動、元々行かないが、人が集まる場所は避けて除菌や消毒を徹底した。帰宅後、家族も淡路島で関わった方も体調不良やコロナの症状は見られていなくて一安心だ。
というのを踏まえて…それでは淡路島日帰り旅行記のはじまり。
時刻は正午すぎ、淡路島の洲本市に到着。
まずは予約していたお弁当を受け取りに「farm studio テーブルと燕」に向かう。
「farm studio テーブルと燕」は岡田舞さんと藤田祥子さんが二人で経営しているカフェで、淡路島の地産の食材を使って素材の味を活かしたお食事やお菓子をつくられている。
お店はもともと酒屋だった古い建物をリノベーションしていて、建物としての長い歴史とお二人のこだわりを感じる内装の洗練さが一体となった空間になっている。
岡田さんと藤田さんのお人柄も合わさって、流れる時間はやさしく、初めてきたのに懐かしさを覚えるような居心地の良さがある。私はテイクアウトだったが、店内での食事も勿論できる。
お弁当と追加で購入したお菓子を手にして、お二人に見送られながらテーブルと燕を後にする。
それから5分ほど車で走れば、海が見えてきて大浜公園に到着! 海水浴シーズンではないのとお昼時とで人はまばらだ。
犬はリードを握る母を引っ張って松林へと向かう。大浜公園の特徴は見事な浜辺の松林。植えられた多くの松が上へ上へ伸びていて、秋の陽射しと生い茂る松の木々が白い砂浜に織りなす光と影が美しい。
ベンチにレジャーシートを引いて腰掛け、マスクを外して一息つく。すると、はっと目が覚めるほどに潮の香りが鼻腔をくすぐった。嗅覚がはたらくと、さらに海にいる実感が増してきた。たまらずうれしくなって深呼吸を繰り返す。それでは燕弁当をいただきます!
まるいひのきのわっぱの蓋を開けたら「わあ!!」と思わず声が出た。
もち麦と栗ご飯のおにぎり、そして鶏肉やお魚、お野菜の10種ものおかずとまるで淡路の秋がつまっているようだ。食欲をそそる見た目から高まる期待を超えていくように、奥深い味わいでとてもおいしい。
お弁当を食べながら両親はずっと喋っている。妹から「ふたりともよお喋るなぁ。口止まらんわ」と言われたら「ご飯おいしくてご機嫌やからや」と母が笑っている。
横に並んだ大人4人が海を眺めて同じお弁当を食べている。胃だけでなく心も満たされる食事となった。
もちろん犬も一緒にお昼ご飯ですよ! お出かけセットのご用意がありますので安心してお腹をすかせてください。
ひと休みをしたところで砂浜に出ると妹が犬を見て呟いた。
「犬ちゃん、海に見覚えがあるみたいちゃう?」
どうなんやろなぁと顔を覗き込むも、犬は真っ直ぐ海を見るばかり。犬の瞳に淡路島の海が映っている。
綺麗な海水は透明度が高く、スキューバーダイビングをしている妹は「潜ったら気持ちいいやろなぁ」としきりに言う。
波が寄せては返っていく渚にふたり分の足音が跳ねる。きめ細かな砂浜、妹のピンクのプリーツスカート、犬の茶色い毛並みのどれもが秋の陽射しを受けては跳ね、きらきら光を放っている。
こちらに帰ってくるとき犬は並走する妹に向かって飛びかかるように突進を始める。ふたりがこのように走っていると、途中から犬がじゃれるように妹の進行を阻むかのごとく突進するのだ。山でも川でもどこでもすると思っていたが、まさか海でも!
次いで妹が母にリードを渡すと、突然犬は波に対して積極的な姿勢を見せはじめる。妹とのかけっこでウォーミングアップができたのか、母がそばにいたら安心するのか。どっちもだろうか。
寄ってくる波に体勢を下げて迎えては、引いたところを狙って追いかける!
そしてまた波が寄ってくると砂浜へと走り出す! 波とたわむれて犬が生き生きとしている。
淡路島の海は犬をも躍動させるのだ。青の濃淡のなかを駆ける犬、なんて目映い光景だろう。
大浜公園をあとにして次の目的地まで移動している車中、犬は妹の太ももに頭をのせて休憩していた。疲れたらすぐに眠れるのも元気な証拠ではないかと、年を重ねるごとに睡眠の質が下がっている私は思う。