最近は、中古住宅を購入するという選択も増えています。中古の場合、売主は前の所有者。これを不動産会社を介して購入するということが一般的です。今回は、売主の説明責任と、不動産会社の説明責任に関する問題です。あなたは、不動産会社Aの仲介により、売主Bの住宅を購入。購入前に子どもも連れて家族で内覧し、環境も申し分ないと思い込み、購入を決めました。しかし、契約を結ぶ前に行われる重要事項説明の「その他買主に説明すべき事項」の欄に、北側隣接地住人より、騒音等による苦情がありました」との記載が!その読み上げも行われました。あなたは驚き、AとBに対して、具体的な事情を聴きましたが、売主Bからは、「今はとくに問題ない」内との説明があり、Aもその説明に同意しました。しかし引っ越しの当日、問題の隣人が飛び出してきて、「うるさい」と水をかけられる事態に。このことがあって、あなたは住むのも怖くなってきました。売主や不動産業者には、責任を問えないのでしょうか?では、さっそく答えを解説していきます。

クレーマー
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近隣トラブルは、売主にも、仲介した不動産会社にも説明責任がある!中古住宅を購入は、周囲の状況をしっかり調査することが大事!隣地から枝や根っこが伸びてきたら切っていい?知りたい人はこちらも!

近隣トラブルは、売主にも、仲介した不動産会社にも説明責任がある!

損害賠償請求

正解…不動産会社と売主に損賠賠償を請求できる可能性が高い

まず、不動産会社Aの義務について。買主に重大な不利益を与えるおそれがあり、契約締結の可否の判断に影響を及ぼすと予測されることは、客観的に説明しなければなりません。これは宅建業法47条1項に「重要事項の不告知・不実告知の禁止」として明記されていることです。

今回の場合、売主の「今はとくに問題ない」という言葉をそのまま受け、客観的に説明できていません。ですから、説明義務違反にもとづいて、あなたは、損害賠償請求をすることができます。

また、売主Bも、今も隣人がクレーマーであることを言わず、「今はとくに問題ない」といったことは、誠実に回答しているとはいえず、信義則上の説明義務違反。やはり損害賠償をすることができると考えるのが妥当です。

ですから、法律的には、「不動産会社と売主に損賠賠償を請求できる可能性が高い」となります。

また、消費者契約法という法律では、不利益事実の不告知による取り消しは可能とされています。このケースでは、それにあたる可能性大。売買契約自体を取り消すという選択肢も考えられます。

中古住宅を購入は、周囲の状況をしっかり調査することが大事!

近隣環境をチェック

このケースでは、関係者が説明義務を果たしていないことが問題です。損害賠償請求をすることで、一定額の賠償金を受け取ったとしても、住み続けるにはストレスがともなうことになります。

また、これほどのことではなくても、実際に住み始めてみると、近くにゴミ屋敷があったとか、風向きによっては、下水のニオイが部屋に入ってくるというような、知っていれば契約しなかったのに…と思うことが少なくありません。

それを防ぐためにも、購入を検討している物件は、何度も足を運び、自分の目や耳で確認することが大切です。時間帯も変え、朝昼夜と異なる時間帯に訪れて確認すれば、リスクはかなり軽減されるはずです。

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画像(図以外)/PIXTA