コロナ禍をきっかけにすっかり増えてきたテレワーク。通勤時間がなくなる分、家事や趣味に時間を使えるメリットや、食事をゆったり楽しむこともできるように。となると、ますます大切になるのは家の環境です。テレワークをしながら仕事がはかどり、料理もしやすい。これから建てる家には、そんな性格が求められています。新しい住宅のあり方について、建築家の新井崇文さんが自身の作例を交えながら解説してくれました。

リビングダイニングを見渡せるオープンな対面キッチン
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目次:

仕事の気分転換に料理!オープンな対面キッチンで心地よく家事をワークスペースには、籠もり感と開放感のバランスが大事ワークスペースとキッチンが繋がると毎日がとても便利に

仕事の気分転換に料理!オープンな対面キッチンで心地よく家事を

オープンな対面キッチンに立つ夫

テレワークでは、朝・昼・晩と一日三食料理をつくって食べる機会も増えるでしょう。特に昼食は、仕事時間の合間における貴重な気分転換にもなります。食べる時だけでなく、どうせなら、つくる時間も快適で楽しいものになれば最高です。

リビングダイニングから庭まで眺めながら作業できるキッチン

例として取り上げたこちらの家では、オープンな対面キッチンのプランに。シンク前に立った時に、リビングダイニングから庭まで眺めながら作業できます。明るく広々した空間を感じながら、心地よく料理ができる仕掛けに。

庭や眺望が楽しめる間取り

特にお庭や眺望を重視して家づくりをする方にとって、在宅ワークはいいチャンスと言えます。仕事の日でも、昼間からわが家の庭や眺望が楽しめるのですから。

庭や眺望に感心を持っていなかった方でも、在宅ワークが多いのなら「キッチンやワークスペースからお庭や眺望が楽しめる間取り」を検討する価値はあると思います。また、敷地選びの際に、意識してみるのもよいのではないでしょうか。

ワークスペースには、籠もり感と開放感のバランスが大事

ワークスペース

同じお宅のワークスペースです。ここは、一日の大半を過ごす場所。仕事に集中でき、かつ快適な空間であれば理想的です。

ダイニングキッチンのそばにワークスペースを設置

ワークスペースは、ダイニングキッチンに面しています。家事や休憩など、何かと過ごす時間の多いのがダイニングキッチン。その近くにワークスペースを設けることで、動線が短縮され、日常の移動がラクな間取りになっています。

籠れる雰囲気のワークスペース

ワークスペースとダイニングの間は腰壁や垂れ壁で柔らかく仕切り、少し籠れる雰囲気にしました。ワークスペースの床をダイニングから1段上げることで、仕事モードへと気持ちの切り替えができる仕掛けに。

ワークスペースからダイニングごしに庭の緑がよく見渡すことができる

ワークスペースの床をダイニングから1段上げた効果は、ワークスペースに座った時の見え方にも表れます。奥まった位置にあるワークスペースの椅子に座っても、ダイニングごしに庭の緑をよく見渡すことができるのです。
仕事の合間にふと前を見ると庭の緑が目に入ってくる…そんな環境であれば、仕事の疲れも癒されそうです。

ワークスペースのデスク背面に壁面収納を設置

気持ちよさも大事ですが、ワークスペースには機能性も求められます。在宅ワークでは、仕事の書類や道具類がお家に持ち込まれることに。適切な収納場所がないと、それらがリビングやダイニングなどくつろぎの空間にあふれてしまいかねません。
このおでは、ワークスペースのデスク背面に壁一面の収納棚を造りつけることにしました。書類や道具等を十分収納できるようにしています。

ピクチャーウィンドウにもなっている高窓

ちなみに、収納棚上部には高窓が。北側からの優しい光がワークスペースに降り注ぎます。また、この高窓はピクチャーウィンドウにもなっており、隣地の緑を借景として美しく切り取っています。

ワークスペースとキッチンが繋がると毎日がとても便利に

パントリーを介して直接行き来できる間取り

この家では、ワークスペースとキッチンが、パントリーを介して直接行き来できる間取りになっています。仕事をしながら、料理のお湯を沸かし始めたり、ワークスペースのパソコンモニターで料理レシピを確認しながらキッチンと行き来したり。この位置関係が「使いやすいです!」と住まい手さんにも好評です。

回遊できる間取り

「ダイニング→キッチン→パントリー→ワークスペース」と間取り全体を回遊できる動線することにはほかにもメリットが。ご夫妻はもちろん、訪問者など複数人で共同作業をしても、キッチンへの出入りや動作がしやすくなっています。

在宅ワーク中の昼食を楽しむ二人

こちらでは、夫婦ともに在宅ワーク。息の合った2人で、さっと昼食をつくり、楽しく食べているそう。そんな暮らしもすてきですね。