こちらは埼玉県新座市にある築47年の団地の一室。解体からはじまり、壁や床の施工、二重サッシや棚の取り付けなどできることはすべて夫のDIYでおこないました。予算の都合でキッチンは既存のまま。キャビネットにカッティングシートを貼って印象を一変させています。物件価格は400万円、工事費は200万円。「予算が少なくても、自分好みの住まいをかなえることはできる!」ということを教えてくれる仲村邸を、さっそく見せていただきましょう。
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キッチンは既存を生かしながら、自作のカウンターで使い勝手よく手づくりの棚や建具が住まいにぬくもりをプラス6畳の和室は明るく開放的なリビングダイニングに内窓付きの防音室もDIYで間取り(リノベーション前後)キッチンは既存を生かしながら、自作のカウンターで使い勝手よく
ひと続きのキッチンとリビングダイニングをゆるやかに仕切るのは、夫の手づくりのカウンターです。「作業スペースと収納を兼ねていて、便利です」と、妻も大のお気に入り。カラーボックスと合板を組み合わせたもので、材料費は1万円以下というから驚きです。
現在の部屋を購入する前に、同じ団地内の賃貸物件で「試し住み」をしてみた仲村さん夫妻。周囲の環境や管理体制のよさが気に入り、1年後に48㎡で400万円という手頃な物件を購入しました。
「この価格なら5、6年住めば元が取れるし、自分で手を加えて住めばトータルでおトクだと思いました」と夫。
団地専門のリフォーム会社「団地の匠」に相談して、床の基礎工事や電気工事&給排水工事などはプロに依頼。残りはアドバイスをもらいながら、夫ひとりで4か月かけて理想の空間に仕上げました。
キッチンの引き出しの取っ手は、100円ショップの麻ひもを巻き付けて雰囲気アップ。木製に見える引き出しや扉の面材は、木目調のカッティングシートで仕上げた力作です。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫37歳 妻33歳
▼リノベを選んだ理由
年間100万円以上の家賃を支払うなら購入したほうがいいと考えていた。しかし、将来的にどちらかの実家に戻る可能性もあり、長期ローンを組むのにも躊躇があった。妻の知人を介して団地リノベの魅力を知り、手頃な物件価格と自分たち好みに改装できることに興味を持ち、「試し住み」を経て物件購入。ほぼDIYでリノベーションした
▼住宅の面積やコスト
専有面積/48㎡ 物件価格/400万円 工事費/200万円(うち50万円はDIY分)
手づくりの棚や建具が住まいにぬくもりをプラス
玄関を入ると、棚のピッチを自由に変えられる棚柱を使ってつくったシューズラックがお出迎え。以前はベランダにあった洗濯機置き場は、プロに頼んで室内に新設しました。
洗面台の右手の壁には、古いキャビネットが取り付けられていたそう。撤去して新たにヒノキ材でオープン棚をつくりました。コンクリート壁のため、古いアンカーの穴を利用して、そこに新しいビスを打って取り付けています。
洗濯機置き場の間仕切り壁。フックや棚が自由に取り付けられる板壁仕様にしたので、収納やディスプレイに役立つコーナーになりました。
LDKの引き戸もDIYで。玄関ホールが明るくなるようにガラス戸にしました。
6畳の和室は明るく開放的なリビングダイニングに
6畳の和室だった場所は、壁を撤去して開放的なリビングダイニングに変身。正面の壁には今後、収納棚を造り付ける予定です。
棚を兼ねたカーテンレールも夫が設置。5階なので見晴らしのよさは抜群です。
寝室とゆるやかにつながるLDK。壁や天井は珪藻土を主原料とした「水性塗料Kペイント」で塗装。床は基礎工事の上に合板を張り、フロアタイルを敷いています。
寝室のレトロな大型収納は既存のまま使用中。「大工さんに、これをゼロからつくると大変だよと言われて、そのまま使うことにしました。衣類や普段使わない道具などを収納しています」と夫。
内窓付きの防音室もDIYで
声優や音楽制作の仕事をしている夫の作業室。防音はもちろん、声を録音するときに反響音が出ないよう、吸音性にもこだわったそう。
壁や天井に木枠を設けて、そこにグラスウール、遮音シート、吸音材「サウンドSタイル」、吸音ボードを重ねています。
作業室の窓は、LIXILの内窓「インプラス」を自分で取り付けて二重窓に。「思ったより簡単にできました」と夫。
「手探りのDIYは失敗も多くありました。一体いつ終わるんだろうと心が折れそうにもなりましたが(笑)、完成してみると感動です。今後も住みながら少しずつ手を加えていきたいと思います」と夫。苦労した思い出とともに、愛着もたっぷりと感じられる住まいを手に入れた仲村さん夫妻です。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
撮影/山田耕司 ※情報は「リライフプラスvol.25」取材時のものです