大掃除の季節。部屋がスッキリ片付いたら、ついでに模様替えしたいと思っている人もいらっしゃるのではないでしょうか。一級建築士のしかまのりこさんのもとにも、狭さを解消する模様替えの相談が増えているそうです。広く感じる部屋にするポイントは「色」だそう。家具の色を変えたことでこんなに変わった!という事例を3Dを使って紹介してもらいました。
すべての画像を見る(全7枚)広くない部屋だと、収縮色の家具は高級感より暗く狭い印象に
こちらの部屋は都心戸建て1LDKのリビングダイニング部分です。ひとり暮らしをされていらっしゃる相談者は、色の濃い高級感のある家具に憧れがあり、入居時にお気に入りの家具を購入されました。
しかし、実際に家具を置いて生活してみると「部屋が暗く、狭く感じる」ため、元気が出るような明るい部屋への模様替えをご希望でした。
チェストや本棚、TⅤボードやテーブル・ソファなどの家具はもちろんカーテンまで暗く濃い色に統一されています。
このような暗く濃い「収縮色」のコーディネートは、広い部屋では高級感を演出できます。しかし、あまり広くないリビングダイニングでは、高級感よりも暗く狭い印象を受けてしまいます。
部屋が狭く見えるのは壁紙や家具、カーテンなどの色の影響が大!
部屋が狭く見える原因は、第一に、間違った家具レイアウトによることが挙げられます。しかし、部屋が狭く見えるのは、家具レイアウトだけではありません。
それは壁紙や家具、カーテンなどの「色」です。一般的に白など明るく薄い色は「膨張色」、黒など暗く濃い色は「収縮色」と言われています。
膨張、収縮の言葉からもうお分かりかと思いますが、部屋の空間に白などの「膨張色」を使えば、部屋は広く膨らんで見えます。また逆に黒などの「収縮色」を使えば、部屋は狭く締まって見えるのです。
住宅の壁や天井の壁紙に白や薄い色が多いのは、この「膨張=広く見える」効果を狙っているのです。
一方、ホテルなどの商業施設の壁や天井に茶色や濃い色が多いのは、「収縮=締まって見える」効果をねらい、高級感を演出するために広い空間がぼやけないようにしているのです。
それでは、家具の色使いでどれだけ部屋のイメージが変わったかを見てみましょう。
膨張色を基調に、暖色系をポイントに入れると広く心地よい空間に
そこで、部屋を明るく広く感じるように、家具やカーテンなどの「色」を変えてみました。
チェストや本棚、テーブルやソファなどの家具やカーテンを、大きさはそのまま、色だけをベージュや白などの薄い色に変えました。
テレビボードは高さが1m50㎝もあるため、白いものにするだけでは圧迫感が残ります。そこで家具本体は壁と同じ白にするだけでなく、収納扉が透明ガラスのものを選び、軽さを出しました。
家具やカーテンなど部屋のすべての色をベージュや白などの「膨張色」にしてしまうと、部屋は広く明るい印象に。しかしそれだけだと全体が膨らみすぎて少しぼやけてしまいます。
そこでリビングチェアとソファクッションを、ベージュと同じ暖色系の黄色やオレンジにして、空間にポイントを置きました。
また、リビングチェアを部屋奥に移動したことで、チェストは壁際に寄せ、本棚は冷蔵庫側面を隠すようにレイアウト。最後に、少し背のあるフロアランプを、部屋入口から対角の隅に置くことで、空間に奥行きを出しました。
同じ部屋、同じ大きさの家具でも、色の違いだけで、これほどイメージを変えることができます。部屋が狭いと感じている場合は、模様替えと一緒に、家具の色を見直してみてはいかがでしょうか。
●教えてくれた人/しかまのりこさん
COLLINO一級建築士事務所主宰。一級建築士、木造・鉄骨造既存建物耐震診断士など、建築に係る重要な資格を多数保有。設計・検査・審査した住戸数は5000軒以上。また、300軒以上のリビング・寝室・子ども部屋の模様替えを行い、模様替えのスペシャリストとしてTVや雑誌でも活躍中