Kさん夫妻が住む建物は、もともとは賃貸マンションでしたが、6年前に一棟丸ごとリフォームされ、分譲マンションに生まれ変わったもの。「私たちがこの家を購入したのは、そのリフォーム工事から5年しか経っておらず、前住者の水回りの使用感は気になりませんでした」(夫)予算のことも考慮し、使える設備はそのまま活用。内装の仕上げを優先し、憧れのヘリンボーン張りの床も実現させました。
すべての画像を見る(全14枚)クールな躯体現しの壁とヘリンボーン床が好相性
設計を依頼したのは、物件探しから依頼したリノベーション会社・EcoDeco。同社のサイトで施工事例を見て、「自然素材をベースにし、ちょっとスパイスを効かせた感じがカッコよく、雰囲気もいいなあと惹かれました」と夫妻。
間取りにはそれほど大きな変更を加えず、内装に予算をあてることに。「とくにこだわったのはリビングダイニングの床。手の込んだヘリンボーン仕上げに憧れていたんです」(妻)。
オークのヘリンボーン仕上げは、職人が1枚ずつ丁寧に張り合わせたもの。「一般的なフローリングの2倍手間がかかったそうで、職人さんは夢に出てきたと言っていました(笑)」と夫。リビングダイニングは2部屋の壁を取り払ったことで広くなり、南側からの光がダイニング、さらにキッチンまで届くようになりました。
リビングダイニングの壁面と天井は大胆に躯体現しに。また、キッチンの床はモルタル塗りで天井は板張り、ベッドルームの床はホテルライクなカーペット敷き、と空間ごとに仕上げを替え、表情豊かに仕上げました。
【この住まいのデータ】
▼家族構成
夫35歳 妻37歳
▼リノベを選んだ理由
そろそろ家を持とうと、リノベーション前提で物件探しからEcoDecoに依頼。地下鉄の駅からも近い好立地にちょうどいい物件が見つかったため
▼住宅の面積やコスト
専有面積/59.00㎡ 築31年(昭和63年築) 工事費/600万円(税込み、設計料別)
既存の設備をリフレッシュして活用
「キッチンはオリジナルでつくったれたら理想的ですが、コストも相当かかってしまう。今回のリノベでは面材を変更し、設備はそのまま生かすことに。既存の壁タイルも悪くなかったので生かしました」と妻。
ブルーグレーのメラミン仕上げとしたキッチン扉が、シックなトーンの空間によく似合います。天井はダクトを通すため、板張りを連続させて出っ張り感を抑えました。
保温性が高く、使い勝手がいいユニットバス。「バスタブの広さは構造の関係でややコンパクトですが、設置場所を変えると大工事になってしまうので、よしとしました」(夫)
キレイな状態で、レイアウトにも不満がなかったトイレは、床と天井の仕上げを変更。収納部の扉は、既存にウレタン塗装を施してリフレッシュ。
洗濯機の上部は既存の棚を撤去し、新たに棚板を設置。またトイレのドアは、小口にオーク無垢板を練りつけ、さらに蝶番は光沢が美しい真ちゅう製と、凝ったディテールにも注目。
洗面台は設備・内装を変更。洗面ボウルの下部はオープンにしてスッキリとさせました。ボウル脇の2段の棚は、フローリング材を活用しています。
カーペット敷きでホテルライクな寝室に
ベッドの脇に置き家具のシェルフを配置した寝室。インダストリアル感のあるシェルフとクールな躯体現しの壁とが好相性。天井は板張り、床はカーペットで温かみをプラスしました。
クロゼットは使いやすくオープンに
寝室の西側にクロゼットを設置したので、朝の身支度も快適。既存では扉が付いていましたが、より出し入れしやすく、見渡しやすくするためオープンにしました。
玄関土間にはオープンな靴収納を設置。天井までのスペースをフルに活用して、十分な容量を確保。また、正面奥のベッドルームの扉は開き戸から引き戸に変更したことで、出入りがしやすくなりました。
土間の壁面を有効活用したワイドな姿見は既存のもの。全身のコーディネートをチェックしてから外出できます。
使えるものは活用し、豊かな空間をつくり上げたKさん夫妻。「いずれ予算ができたら、キッチンを替えることも考えたいですね」と今後のリノベ計画も話してくれました。
間取り(リノベーション前後)
リノベーション前
リノベーション後
プロデュース・設計/EcoDeco
中古マンションリノベのワンストップサービスのパイオニア。全コーディネーターが不動産探しから設計まで一貫して担当できるよう、不動産と設計のプロとしての知識と経験を併せ持つ。内見時には両方の視点からアドバイスができる。施工会社はコンペ形式で、公平性がある。福岡オフィスもある
撮影/山田耕司 ※情報は「リライフプラスvol.32」取材時のものです