最近よく問題になるのが、学生時代の奨学金返済が家計を圧迫し、生活がカツカツになってしまうというケースです。「専業主婦ですが、奨学金返済でキツい家計を黒字化するためには、0歳の子どもを預けて働きに出た方がいいでしょうか?」というESSE読者のお悩みに、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが答えてくれました。

奨学金返済
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奨学金返済が家計を圧迫…どうすればいい?

【相談者】

堀田真生さん(仮名) 大阪府・27歳(専業主婦)
夫30歳(会社員)、長女6か月

【お悩み】

マイホームや娘の教育資金をしっかり貯めていきたいのですが、夫の奨学金の返済もあり、毎月赤字。月1万円と決めている貯金すら、できない月があります。子どもを一時保育で預けて、パートに出た方がいいのでしょうか?

【堀田さんの家計収支】

<収入>
夫の月収(手取り) ¥225,000
児童手当 ¥15,000
収入合計 ¥240,000 

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<支出>
住居費 ¥80,000
食費 ¥28,000
電気料金 ¥4,000
ガス料金 ¥4,000
水道料金 ¥2,500
通信費(固定電話、携帯電話2台分、プロバイダー) ¥24,000
新聞代 ¥4,000
日用雑費 ¥20,000
医療・交際・交通費 ¥16,000
奨学金返済 ¥30,000 

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家電ローン ¥6,900 

←check3

こづかい(夫) ¥10,000
生命保険料(夫) ¥13,100 

←check3

     (妻) ¥2,500
共済掛金(子ども) ¥1,000
貯蓄 ¥10,000

支出合計 ¥256,000
収支 -¥16,000
ボーナス収入 ¥800,000
現在の貯蓄 ¥400,000

保育料が安くなる4歳まで現状でやりくり、がベスト

結論から言うと、今すぐパートに出ても、保育料が高く、家計のたしになりません。保育料は自治体により異なりますが、堀田さんの住む自治体は高額な方。しかも、保育料は子どもが小さいほど高くなるため、現在0歳の堀田さんの子どもを預けると、月3万9400円もの負担に。子どもが4歳になれば保育料は1万2600円に減るので、働くのはそれからが現実的です(Check1参照)。
現状で月の赤字をなくし家計を安定させるために、おすすめは奨学金の月の返済を半分の1万5000円に減らし、その分ボーナス返済を増やすこと。さらに、生命保険の一部を割安な保険にかけ替えれば、月の家計は2800円の黒字に転じます。その黒字を積み立てて、ボーナスから払っているNHK受信料にあてれば、ボーナスの使い道がほぼ奨学金に絞られ、まとまった貯蓄がしやすくなります。ボーナスが出たら先取りで貯めるのが、成功の秘訣!

●【check1】パートに出るのは、保育料が安くなる4歳以降がおすすめ

保育料は子どもが小さいほど、また、年収から割り出される住民税が高いほど、高くなります。堀田さんが住む地域では、3歳未満は3万9400円、3歳は3万1000円、4歳以上は1万2600円(※)。働くならフルタイムで、収入が10万円以上ないと割にあいません。パートで働くなら、子どもが4歳になってからの方がよいでしょう。各自治体の保育料は、サイトで確認できます。
(※保育料は、年収約350万円、第一子の場合)

●【check2】月の返済額を減らし赤字を解消。ボーナスでまとまった貯蓄を

奨学金の総額は540万円で、月3万円、ボーナス時1回6万円を返済中。月の返済額を1万5000円に減らして赤字を解消し、その分、ボーナス時の返済を1回15万円に増やしましょう。年間のボーナス80万円から、奨学金30万円、自転車駐輪場代2万3000円を引いた残り約48万円のうち、半分の24万円を貯蓄目標に先取りで貯めて。

●【check3】医療保険を通販専用保険に替え、保険料3500円ダウン!

夫の保険料の内訳は、死亡保険6500円、医療保険5600円、共済掛金1000円。このうち、医療保険は割安な通販専用保険にかけ替えると、保険料が5600円→1752円まで減らせます※。奨学金の見直しと併せて月の家計は2800円の黒字に。その分を積み立てて、今はボーナスから支払っているNHK受信料に回しましょう。来年4月に家電のローンが終われば、毎月の貯蓄額アップも可能。
(※保険料は、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命「新健康のお守り」、入院日額5000円、先進医療保障通算2000万円など、男性30歳で試算)