1軒の戸建て住宅に、トイレが2つあるのは今や当たり前に。家族がメインで使うトイレがひとつ、寝室に近いところにコンパクトなトイレがもうひとつ…。こんなお宅も多いようです。近年では便器の性能が飛躍的に上がりました。おかげでコンパクトな2つめのトイレで、実現できることがいろいろ増えたそう。「2つめのトイレをもっと使いやすい空間にしましょう」と話すのは建築家の大島健二さん。トイレのレイアウトについて新しい提案をしてくれました。
すべての画像を見る(全9枚)狭いトイレは2つもいらない。2つめのトイレは3in1(スリーインワン)に
便器の機能はずいぶん進化しました。正確に言えば、洗浄・清掃・脱臭といった機能を持った便座が進化しつづけているということです。そのためトイレは、かつてほど臭い・汚い空間ではなくなっています。
であれば、2つめのトイレをプランニングする際には、浴室・洗面とまとめて3in1(スリーインワン)にしてみてはいかがでしょう。
このことでトイレは広くて明るい、子どもや高齢者の排泄にも適した空間となります。
またトイレ専用の手洗いも必要なくなるので、スペースの節約にもなります。
浴室の扉をつけない完全オープンタイプのプラン例。
洗面室と浴室の間には、水返しの段差がつけられています。入浴中の水撥ねが気になるようなら、シャワーカーテンをつければ気になりません。
半透明のガラスの仕切りを入れて、便器の存在感を感じさせないプラン例。
セミクローズドなので、落ち着いて過ごせる空間になります。
もう少し広いスペースがとれるのなら、洗濯場まで取り込んだ4in1もおすすめです。
空間全体がゆったりとしているので、洗濯も脱衣もストレスフリーに。
2つめのトイレは家族のみが使うプライベートな空間に配置することが多いもの。
このようなプランにすれば、スペースを節約しながら広々とゆったりとしたトイレ空間を実現できます。
手洗い器の種類やつけ方で、トイレのデザインが大きく変わる
近年では、タンクレストイレが普及してきました。
このトイレの長所は、小型化や節水をはじめすっきりとしたデザインと掃除のしやすさなど。ここで特筆すべきは便器から手洗い器が分離したことです。
このことで手洗い器の設け方が、トイレ空間のデザインに及ぼす影響も大きくなりました。
トイレもほかの空間と同じように、インテリア性を重視する空間になったということです。
広さや出入口の位置によって手洗い器のタイプやつけ方は変わる
(左)幅も奥行きも確保できない場合は一部を前面壁に埋め込むタイプ、(中)幅は狭くても奥行きがある場合の前面カウンタータイプ、(右)出入口がせまってカウンターを付けられない場合の前面壁かけタイプ。
比較的広さに余裕がある場合は、側面を使ったカウンタータイプを。広さに余裕があれば、カウンター下に収納スペースが確保できます。
空間を広く使える隅角タイプ。風合いのある陶器製の手洗い器もあり、和風の住まいとよい相性に。
家づくりにおいては、つい後回しにされがちなトイレのプラン。
広さや空間の使い方まで含めて、早い段階での検討がおすすめです。
監修・イラスト/大島健二(OCM一級建築士事務所)
参考/『家づくり解剖図鑑』(大島健二著、エクスナレッジ刊)