最近、30~40代の女性で、耳鳴りや、飛行機に乗ったときに感じるような、耳がこもったよううな感覚に悩まされる人が増えているそう。身に覚えのあるという人、それはもしかしたら「低音部難聴」かもしれません。
「これは男性の低い声やクルマの走行音といった低い音が聴こえにくくなる病気で、ストレスや睡眠不足、体の疲れなどによる自立神経の乱れがおもな原因です」と教えてくれたのは、JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科・石井正則さん。じつは珍しくないこの病気について、詳しく伺いました。

腹式呼吸で自律神経を整えて

低音部難聴の放置は禁物!メニエール病に進行するリスクも

低音部難聴にかかる人の8割は女性。とくに30~40代に増えています。「家事、育児、仕事を抱え、ストレスがたまって自律神経が乱れることがおもな原因」とも。
自律神経と耳の聞こえ方には密接な関係があります。自律神経は、通常は交感神経と副交感神経があり、それぞれが促進・抑制などの逆の働きをすることによってバランスを保っていますが、ストレスを感じ続けていると交感神経が優位になり、バランスが崩れて、難聴や耳鳴りといった影響が出てしまうのです。

「まったく聞こえなくなるというより、なんとなく聞こえにくいといった症状なので、放置する人が多いのですが、一時的に症状が治まっても再発しやすいのがこの病気の特徴。おざなりな対応をしていると、そのうちの約8割が再発を繰り返し、さらに激しいめまい発作が起こるメニエール病に進行するリスクもあります」。

おかしいな? と思ったら、早い段階でしっかり受診することが大切なのです。
「また、適切な治療を受ける一方、日常生活で原因となるストレスを和らげることを意識することも重要です。自律神経を整えるためにおすすめなのは、腹式呼吸。あぐらをかいて背筋をのばし、ゆっくりと呼吸するだけでもよいです。もし、わざわざやろうとするとかまえて緊張するようなら、トイレのあと座ったまま5分間目をつぶるのも効果的です」。

体をいたわることができるのは自分自身。変だなと思ったら、先送りせず、すぐに病院を受診することを心がけてください。また日ごろから、ストレスをため込みすぎないように気をつけて過ごしたいですね。